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〈関東大震災−朝鮮人虐殺から80年〉 東京都立川市で開かれた講演会での琴秉洞朝鮮大学校講師の講演内容

 関東大震災時の朝鮮人虐殺事件の本質的問題は、@国家犯罪であるA民族犯罪である−の2点だ。

 まず、国家犯罪であるという点について、とくに戒厳令の問題を中心に述べる。

 当時の治安当局者は、震災後の混乱状態を見て、食糧が行き渡らないことなどの不満が政府、官庁に向くことを非常に警戒していた。それを抑えるためにはどうしても軍隊を出さなくてはならず、戒厳令を発布する必要があった。

 ただし、そのためには戦争中もしくは内乱状態になければならない。しかし、当時の混乱は戦争でも内乱でもなかった。そこで、朝鮮人暴動という流言を流した。つまり、朝鮮人暴動流言を戒厳令発布の法的裏づけにするとともに、民衆の不満と怒りを朝鮮人に転嫁させる狙いがあった。

 朝鮮人暴動流言は無線、通達文という2つの方法で政府が伝播した。しかも、朝鮮人虐殺は軍隊が先導した。この3つのことから、関東大震災における朝鮮人虐殺は国家犯罪と言える。

 第2点目の民族犯罪という点については、日本の一般民衆が特定された民族、ここでは朝鮮民族をターゲットに大量虐殺を敢行したということだ。

 ではなぜ多くの日本民衆は流言を信じて虐殺に加担したのか。それは、@植民地支配に対し朝鮮人の復讐があるだろうとの心理が潜在していたA朝鮮人に対する民族的偏見と蔑視感が強かったB新聞などの言論報道が世論をミスリードしたCこのような素地があるところに、大震災で正気を失った人々に政府、官憲が暴動流言を伝播させた―からだ。

 未解決問題である虐殺事件解決のために、日本政府に対し、事件の正確な調査と謝罪を要求したい。

[朝鮮新報 2003.9.2]