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メニューにない手料理を堪能−炭火焼肉・味楽亭(千葉県松戸市)

 千葉県の市川市と松戸市を結ぶ県道1号線沿いにある炭火焼肉「味楽亭」は、小説「野菊の墓」、矢切の渡し舟などで有名な松戸市下矢切地区に初めて開業された焼肉店だ。25年間女手1つで店を切り盛りしてきた店主の姜君子さん(62)は、矢切商店街でも有名な「肝っ玉母さん」として親しまれている。

 6年前に改築したという店は、アットホームな雰囲気が漂う。店内はテーブル席2卓と座席テーブル5卓(最高で30人収容)、決して広くはないが、店内に一歩入ると温かい人のぬくもりを感じる。

 無煙ロースターが主流のこの業界で、「味楽亭」は炭火を使用。満席になると、肉を焼く煙が店一杯に充満するが、実はこの煙に引き寄せられ店に何度も足を運ぶリピーターが多いと聞く。家族3代にわたり愛用している常連が多いのも特徴だ。理由は、親しみやすい姜さんの人柄。聞けば、2代目、3代目の息子、娘たちの中には「人間の道義」を習得するためこの店でアルバイトをしている人もいるとか。人情味あふれる姜さんは、彼らの良き相談役として仕事の厳しさと、道徳について教えている。

 そんな「味楽亭」の人気メニューは、和牛使用のカルビ、ロース、上タン塩、中おち(以上全品1人前900円)の焼肉類とユッケ納豆(1000円)。味を濃い目にした生牛肉が納豆の臭みをうち消し、口の中で絶妙にマッチするさっぱりとした逸品。酒のあてによし、ご飯にかけてもよしと食欲をそそる。メニューにのっていない姜さんの手による朝鮮料理は、常連客がそれを楽しみに店にやってくるほどだ。懐が寂しい人は来店時に予算を言えば相応に料理をだしてくれる。姜さんの「愛情」という隠し味が存分に楽しめる心温まるお店だ。(千)

 おすすめメニュー:上記の他、牛刺し(1000円)、テグタンスープ(800円)

 営業時間 17時〜午前0時、毎週月曜休(第3は月火)。千葉県松戸市下矢切50(TEL 047・367・0873)

[朝鮮新報 2003.10.22]