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朝鮮学校生徒への暴行と関連し東京朝鮮中高級学校校長、保護者ら小泉首相に要請書提出

 登校中の東京朝鮮中高級学校女生徒(高1)が、JR埼京線の電車内で制服であるチマ・チョゴリを切り裂かれた事件(1月29日に発生、本紙5日付に既報)と関連し、同校の具大石校長をはじめとする学校関連者らが7日、小泉純一郎首相あての要請書を内閣府に提出。再発防止とそのための具体的方策を取ることを求めた。一方、6日には在日本朝鮮人人権協会の弁護士らが法務省を訪れ、森山真弓法務大臣あての要請書を提出。事件根絶のための実効性ある措置を求めた。

 東京中高女生徒のチマ・チョゴリが引き裂かれた事件と関連して7日、内閣府を訪れた同校の具校長、保護者代表の安正恵さん、同行した植田むねのり・衆議院議員(社民)ら関係者一行は、対応に出た内閣府大臣官房総務課に要請書を提出。代表らは昨年9月以降、朝鮮問題に関するマスコミの偏向的な報道によって、各地の朝鮮学校児童、生徒に対する嫌がらせが助長されていると指摘。そのようななかで起こった今回の事件は、朝鮮学校生徒を無差別に標的にした重大な事件だと強調した。

 そして、平和で豊かな朝・日両国関係を目指し、小泉首相の指導力で子どもたちが安心して学校に通うことのできる環境が作られることを心から願うとした。

 最後に代表らは、@今回の事件に対して厳正な捜査を行い、犯人を逮捕し、厳罰に処することA各地の朝鮮学校生徒に対する暴言、暴行、脅迫行為を防止する具体的方策を講ずるBマスコミの偏向的な報道を是正するよう適切な方策を講ずる−ことを要請した。

 具校長は、「惜しみの連鎖を断ち、真の友好関係を築いていくためには日本社会が過去を直視し、過去から教訓を得ていかなければならない。歴史認識の共有なしには、このような事件は再び繰り返されるだろう」と述べた。同校の高級部2年に娘を通わせている安正恵さん(東京都在住)は保護者代表として参加。

 「家を出て、帰宅するまで心配でいつも胸が張り裂けそうな思いです。朝鮮学校の生徒には伸び伸び通学し、勉学やクラブ活動に励む初歩的な自由も許されないのでしょうか。大勢の人の前でチョゴリを引き裂かれた彼女の恐怖を想像して」と訴えた。

 一方、同校は南の駐日特派員たちの要請により記者会見を行った。

法務大臣に「実効措置を」と人権協会の同胞弁護士ら

法務大臣あての要請書を読み上げる洪正秀弁護士(中央)ら

 在日本朝鮮人人権協会の弁護士、職員らは6日、東京・霞ヶ関の法務省を訪れ、事件の再発防止を求める森山真弓法務大臣あての要請書を提出。事件をなくす迅速かつ実効的な措置を求めた。要請に訪れたのは同協会副会長の洪正秀、近畿地方本部事務局長の梁英哲、金舜植の弁護士と職員ら。植田むねのり衆議院議員(社民)が同席した。

 代表らは、朝鮮半島をめぐる政治情勢が不安定になるたびに繰り返されてきた事件は、朝・日間の対立をあおるマスコミの存在が背後にあるが、再発防止を促す日本政府の具体的、積極的な対応がとられなかったことにも原因があるとして、子どもたちの安全を保障する迅速な対応を求めた。とくに民族差別を根絶するための啓発活動を強化し、何よりも人種差別を禁止する法整備が急務だと訴えた。

 洪弁護士は、「根本的な解決は教育にある。なぜ在日朝鮮人が日本にいるのかを学校教育できちんと教えることが必要だ」と話した。日本人弁護士とともに、朝鮮学校生徒に対する聞き取りを始めた梁弁護士は、加害者に被害者と年の近い高校生がいることに問題の深刻さを感じたと憂慮し、金弁護士は法務大臣の緊急アピールなど世論に強く訴える措置をとってほしいと嘆願した。

 人権擁護局からは4人が対応。柏原治・人権啓発課長は法務省が朝鮮学校の児童、生徒に対する事件が頻発した昨年9月、各地方法務局に対して啓発活動の強化を求めたと説明した。法整備に関しては、現在審議中の人権擁護法案の中に人種差別を禁止する文言があると述べるのに終始した。

 代表らは各法務局の対応を集計し知らせてほしいと要求、また同局職員の朝鮮学校訪問を提案した。

[朝鮮新報 2003.2.11]