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国際条約違反の人権侵害

 日弁連の勧告は朝鮮人強制連行について、「強制労働に関する条約」、奴隷制度の禁止(国際習慣法)、「人道に対する罪」に違反する人権侵害行為であると規定した。

 日本政府が1932年に批准した国際労働機関(ILO)の「強制労働に関する条約」(29号)と照らし合わせて見ると、日本はそのほとんどの項目に違反している。

 例えば、第11条(強制労働に従事する者)では18歳未満、女子の労働を禁止しているが、実際は10代前半の朝鮮青少年が日本各地の炭鉱や土木建設現場に、挺身隊として朝鮮女性が紡績工場などで過酷な労働を強いられた。

 第12条(強制労働の期間)では、最長期間は労働場所を往復するに要する期間を含み60日を越えてはならないとしているが、募集や官斡旋の名のもと強制連行された朝鮮人は、2年および3年契約で日本に連れてこられた。

 第14条(報酬)では、賃金に差別があってはならず、さらに現金で支払うことを規定しているが、朝鮮人には最低の生活を維持する程度の賃金しか渡されず、「国に帰る時に残りは渡す」と「強制貯金」させられたケースもあった。だからと言ってその後に、給与が支払われたわけではなく、未払い賃金として現在まで日本の国庫に納められているものもある。

 第16条(健康の保持)では、健康を保障するための衛生および宿泊に関する措置が施されることをうたっているが、「タコ部屋」と言われた劣悪な環境で生活していたのが実態だ。

 第21条(地下労働)では、鉱山における地下労働を禁止しているが、39年の国民動員計画に基づき日本各地の炭鉱や鉱山に狩りだされた朝鮮人は14万人を超えた。

 こうした現実を踏まえ、ILO条約勧告適用専門家委員会が発表した99年の年次報告書では、第2次大戦中に朝鮮半島から強制連行されて日本の鉱山や工場で強制労働に従事させられた人たちの問題を取り上げ、「ひどい労働条件のもとで、私企業で働かせるため大量の労働者を徴用したことは、強制労働に関する条約に違反する」との見解も示している。(羅基哲記者、監修=朝鮮人強制連行真相調査団)

[朝鮮新報 2003.2.13]