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北海道強制連行フォーラム−シンポジウムでの主な発言内容

 第1回強制連行、強制労働犠牲者を考える北海道フォーラムのシンポジウム「歴史の真実を見つめ東アジアの人々が共に生きる未来を考える」での、パネリストたちの主な発言内容を紹介する。

 朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長

 1995年のアジア女性基金は被害者の総すかんを食った。その理由は日本人が相手の気持ちも確認せず、自らの勝手な善意を押し付けようとしたからだ。遺骨もしかり。善意で簡単に片付けられる問題ではない。被害者が望んでいることは、このような国家的犯罪が2度と起こらないように政府と企業がしっかり責任を取ることだ。強制連行、強制労働は日本政府と相手企業が共同して計画し実行したものであり、それによって犠牲になった人々の遺骨は、彼らが責任を持って遺族に返さなければいけない。

 日本弁護士連合会は昨年10月、日本に住む被害者およびその遺族に対して、国際法の観点から人権を救済し、尊厳を回復させていくべきことを小泉首相と連行者の企業に勧告した。同勧告を1つの基準として、研究者らが足並みをそろえて問題解決に取り組んでいくべきだ。強制連行、強制労働問題は、日本も批准している「強制労働ニ関スル条約(ILO第29号条約)」など国際法の観点から解決されなければならない。

 南で強制連行、強制労働の実態について研究している金廣烈・光云大教授

 在日朝鮮人および日本の研究者や市民運動団体による研究や調査がかなり蓄積されているのに比べ、南では被害当事国であるにもかかわらずそのような取り組みが質、量ともに劣っていた。研究が本格的に開始されたのは90年代に入ってからだ。一昨年9月には政府レベルでの解決を求め、南の研究者らで「強制動員真相究明特別法」制定推進委員会を結成。今年1月には政府がより積極的にこの問題に取り組むよう、次期大統領にあてた意見書を提出した。

 被害者とその遺族にとって、戦争は現在進行形。彼らに残された時間は少ない。日本国は植民地支配をした国家として、また被害者の尊厳を回復させるためにも個人に対する補償を行わなくてはならない。問題は南の政府、政治家、マスコミの無関心にもある。この場を通じてアジアの研究者たちとのネットワークを構築していきたい。

 中国人の遺骨調査作業に取り組んできた席占明・札幌華僑総会会長

 1953年に北海道中国人殉難者慰霊実行委員会を設立。主に各地の寺に保管されてきた遺骨の遺骨収集、慰霊祭、中国本土への返還作業を行ってきた。しかし近年、遺骨調査が非常に難しくなっている。当時の関係者が高齢または他界し情報が得られないためだ。

 良心に従って遺骨調査作業を続けてきたが、個人の力ではもう限界だ。日中国交正常化から30年以上経つが、遺骨問題は1つも解決されていない。加害国である日本政府の責任で遺骨調査、返還作業がなされるべきだ。

[朝鮮新報 2003.2.25]