外国人学校卒業生の受験資格問題と関連し、兵庫県外国人学校協議会が文部科学省に要望 |
3月中に結論が出ることになっている外国人学校出身者の高校、大学への受験資格問題と関連し、兵庫県内の外国人学校で作る兵庫県外国人学校協議会の林同春会長(神戸華僑総会会長)と朴成必事務局長、在日朝鮮人大阪府教育会の蔡成泰会長が21日、東京・虎ノ門の文部科学省に池坊保子・文部科学政務官を訪れ、すべての外国人学校に門戸を開放するよう要請した。 「良識ある決断を」
席上、林会長は同日の朝日新聞が1面トップで「文部科学省が朝鮮、韓国、中国、台湾などアジア系の外国人学校を対象から外す方向で検討している」と報じたことと関連し、まず事実関係をただした。 そして、「アジア系の子どもたちを間違って仕分けするような矛盾があってはならない」と指摘、「アジア系、欧米系を何を持って区別するのか。日本で生まれ育った子どもたちを幼少の頃から差別するのが、果たして世界の平和のためになるのか。日本政府が、日本人一人ひとりが考えて判断してほしい」と良識ある決断を求めた。 これに対し池坊保子政務官は、「検討課題になっている」と、朝日新聞の報道は最終決定ではないと述べる一方、省内や与党の間で認識が一致していないことや、朝鮮半島情勢をめぐる諸事情から「今の状況だと難しい」との認識を示した。 また、教育の機会均等の点からインターナショナルスクールのみに認めることは望ましくないと述べ、朝鮮学校が日本の学校教育法に定める「1条校」に準じた教育を行っていることも確認しながら「いい方向に進めるようにしたい」と前向きな姿勢も示した。同席した赤羽一嘉衆院議員(公明)も、国会内で認定されるよう活動していきたいと述べた。 再検討を要請 受験資格問題に関して文部科学省は昨年3月、日本経済界からの要望を受け、インターナショナル・スクールで一定水準の教育を受けた生徒が希望する場合には、大学や高等学校に入学する機会を設けることを決定(「規制改革推進3カ年計画」)。しかし、インターナショナル・スクールの定義が明確になっていないことからアジア系の外国人学校から「アジア系はどうなるのか」「インターナショナル・スクールの定義が明確ではない」との声が上がっていた。 そんななか、今年1月に大阪、広島、愛知の朝鮮学校関係者と日本市民らが24万人分の署名を河村建夫・副大臣に提出。席上、河村副大臣が、「朝鮮、中華学校もインターナショナル・スクールと一緒に認められるべきだと思う」と前向きな見解を示していたことから決定に注目が集まっていた。 蔡成泰会長は、「朝鮮学校の子どもたちが阻害される痛ましいことが現実となれば、本来教育の機会均等を目指していた決定がむしろ不平等を産み落とす。朝鮮学校に通う生徒のチマ・チョゴリが切り裂かれる事件が起きているなかで、朝鮮学校を差別しても仕方がないという世論を生み出しかねない」と深い憂慮を示した。 代表らは再検討を要請、池坊政務官は「再び検討するよう提案したい」と答えた。(張慧純記者) 子どもには平等であるべき−兵庫県外国人学校協議会 林同春会長 もし中華、朝鮮、アジア系を外すとするなら何を持ってそう差別できるのか、幼少の頃から子どもたちをこのような通らぬ理屈で差別していいものなのか。 同じように日本に生まれ育った子どもたちに、ある生徒に受験資格が与えられ、ある生徒にはない。そういうことをしていいものなのか。日本政府は果たしてそれでいいのか。日本人一人ひとりが真剣に考えてほしい。隣の人に問いかけてほしい。 世界は一つ、人類は共生、民族、国籍、肌の色で仕分けするのではなく一つのものにしていかねばならない。世界平和のためには何より教育だ。日本が平和に過ごした、戦争がなかったこの57年間を振り返ってほしい。戦前、戦中、戦後の教育、そして21世紀の教育のあり方を考えてほしい。子どもたちが世界で歩けるような、広い長い道を作ってこそすばらしい日本を作ることができると思う。 朝鮮をめぐる国際情勢の影響を指摘する人がいる。私は政治的に高い次元の問題に触れることはできないが、国際情勢をもって子どもの将来を決めていいのだろうか。子どもに対しては平等であるべきだ。平和な世界、21世紀を築くため、子どもをどう育てるか。この一点に尽きると思う。 [朝鮮新報 2003.2.27] |