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原状回復、賠償 国連で指摘

ファン・ボーベン国連最終報告書を決議した国連人権小委員会(1993年8月、ジュネーブ)

 日弁連の勧告には明記されなかったものの、国連人権小委員会決議「人権と基本的自由の侵害を受けた被害者の原状回復、賠償および更生を求める権利についての研究」(ファン・ボーベン氏の国連最終報告書)では、賠償の対象として「肉体的または精神的被害」を上げた。また再発防止の対策として、「事実の検証と真相の全面的公開」「事実の公的な認定と責任の受諾を含む謝罪」「教育のカリキュラムと教材に人権侵害に関する正確な記録を含めること」などを求めた。

 報告そのものに法的効力はないが、これは日本が過去を真の意味で清算していくための重要な課題となる。同じような課題を真しに受け止め行動したドイツでは、かつてのユダヤ人被害者に対する加害国としての制度的な差別が皆無となっている。

 一方、強制連行、強制労働問題についてはこれまで国際法の視点から見てきたが、在日朝鮮人の地位問題もそれ同様、国際法の視点から論議を重ね、地位を確立していくべきとの声が高まっている。在日朝鮮人は奴隷制の被害者とその子孫であるにもかかわらず、21世紀のこんにちに到っても加害国の制度的・社会的差別を受けているからだ。

 例えば民族教育の権利について言えば、朝鮮学校は現在、日本の学校教育法上の「一条校」ではないとの理由で、学ぶ権利が保障されていないものもあるが、これは国際法(国際人権規約や子どもの権利条約など)違反である。

 国際法に基づき日本政府が民族教育の諸権利を保障すれば、助成金の拡大、朝鮮高級学校卒業生の日本の国立大学入学(受験)資格認定など、さまざまな権利が保障されることになる。

 在日朝鮮人の地位問題については、「平壌宣言」で「国交正常化会談で誠実に協議する」としたが、国際法の観点から追究していく必要があるということだ。

 この地位問題は、植民地支配に対する「反省」と「謝罪の意」を表明した日本政府が、その結果発生した在日朝鮮人問題にどう対処していくかという重要かつ重大な問題である。またこれは在日自身の問題でもある。(羅基哲記者、監修=朝鮮人強制連行真相調査団)

[朝鮮新報 2003.2.27]