総連中央教育局長談話 |
報道によると、日本の文部科学省は外国人学校のうちインターナショナルスクールの卒業生に限って国立大学の入学資格を与え、朝鮮学校など民族学校にはこれまで通り、認めないとしている。 このことは、教育の機会均等をうたった「日本国憲法」と「教育基本法」に著しく抵触し、在日朝鮮人の民族教育にたいする新たな差別政策となるばかりでなく、不純な政治的意図をもって在日朝鮮人子弟の教育の権利を奪おうとする重大な人権侵害である。 また、インターナショナルスクールだけを「英米にある民間の評価機関によって認証を受けていることを資格の条件」として認め、朝鮮学校をはじめ韓国学校や中華学校を除外するということは、経済的尺度による「公益」の度合いで定住外国人と短期在留外国人を区別する時代錯誤的な発想としか言いようがない。 周知のように、在日朝鮮人は朝鮮植民地支配の直接の被害者であり、朝鮮学校生徒はその子孫である。 それゆえ当然、日本当局は過去の歴史を直視し、日本に定住する在日同胞の民族教育の権利を認め支援すべきである。 今年1月16日、河村建夫文部科学副大臣は朝鮮学校関係者と会った席で、朝鮮学校や中華学校卒業生もインターナショナルスクールと同様、大学入学資格検定試験を受けることなく大学への受験資格が認められてしかるべきだと発言した。 私たちは、この発言に少なからず励まされ、期待もし、文部科学省の対応を見守ってきた。 にもかかわらず、今回、文部科学省が関係者の期待を裏切る形で朝鮮学校生徒の国立大学への入学資格の認定を否定するという報道がなされたことは、まことに危惧すべき事態と言わざるをえない。 文部科学省の「判断の背景」となっている「現在の北朝鮮情勢」、すなわち「いま認めれば、北朝鮮を利することになりかねない」ということが事実であるならば、これはまさに、昨今の異常な反共和国、反朝鮮総連キャンペーンに乗じて教育問題をことさら政治問題化しようとするものであり、絶対に許し難いことである。 朝鮮学校生徒の国立大学への入学資格が認められないことについては、すでに日本弁護士連合会や「人種差別撤廃条約」などの人権に関する国連の各条約委員会がその不当性を指摘し、その是正を日本政府にも勧告している。 文部科学省の不当な対応は、こうした勧告を無視するものであり、21世紀の未来を担う朝鮮とアジアの次世代の無限の可能性、輝く未来を踏みにじるものである。 私たちは、日本の文部科学省が真の国際化のためにも朝鮮学校をはじめ外国人学校への差別を直ちに撤廃し、インターナショナルスクールにだけ国立大学への入学資格を認めるのではなく、すべての外国人学校にも認めるよう公正な判断をすることを強く求めるものである。 最後に、広範な日本国民のみなさんの朝鮮学校に対するよりいっそうの深いご理解と温かいご協力を心から願うものである。 [朝鮮新報 2003.3.1] |