アジア系排除の方針是正を−朝鮮学校を支える日本の市民団体 |
外国人学校卒業生の国立大学受験資格問題で、各地の朝鮮学校を支える日本人の団体からも文部科学省に対しアジア系学校排除の方針の是正を求める声があがっている。 まったく根拠のない差別 日本で暮らすすべての人々が法の基に平等であることは自明の理だ。特に子どもたちの教育を受ける権利は平等であるはずである。それは、97年の日本弁護士連合会の勧告や子ども権利条約などからも明らかだ。 私たちが暮らす杉並区にも朝鮮第9初級学校があり、長年近隣小、中学校PTAとアボジ会、オモニ会を中心に地域活動、文化活動、スポーツ活動など幅広く交流を行っており、同校のカリキュラムは、母国語などの授業を除き、ほとんど日本の小、中学校の授業とかわりがない。すなわち、その延長線上で学ぶ朝鮮高校を卒業した生徒は、日本の高校を卒業した生徒と同程度の教育課程を修了していることは明らかである。 なぜインターナショナルスクール卒業生の生徒に認められた大学受験の資格が認められないのか理解に苦しむ。こうしたまったく根拠のない差別こそ、広範な市民運動の力を結集し撤廃させなければならない。21世紀の日本と朝鮮の懸け橋となる子どもたちの未来を切り開くために私たちもがんばりたい。(東京都杉並区民の会、長井哲夫代表) 率先する文科省に怒り 何かがあると朝鮮学校の子どもに対するいじめが起こる。日本社会の人権意識の薄っぺらさを恥ずかしく思う。今回の文部科学省の処置は、文部科学省がいじめの先頭に立っているという感じを受けた。 今回の処置は差別の中にさらに差別を持ち込むものだ。文部科学省がそのような差別を率先して行うことに強い怒りを覚える。 朝鮮学校の教育内容が一条校に比べてなんら遜色がないことは広く知られていることであり、文部科学省の人間もわかっているはずだ。それを承知の上での処置は日本社会の懐の狭さを表している。 今回の処置は日本社会にとっても大きなマイナスである。朝鮮学校に通う学ぶ意欲ある若者を締め出すことは日本社会にとっても大きな損失となる。 これまで会では助成金問題で署名運動を展開するなど朝鮮学校の処遇改善を求める運動を繰り広げてきた。多くの人間に呼びかけて今回の処置に抗議する運動を進めていきたい。(愛媛・朝鮮学校の処遇改善を求める会、中林重祐代表) 政治的理由許せない 今回の文部科学省の方針を新聞報道で知り真っ先に感じたことは、日朝関係の現状を反映させた政治的な意図によるものだということだ。インターナショナルスクールだけに認めて朝鮮学校をはじめアジア系の学校を排除する合理的な理由はまったくないからだ。 民族教育は本来どこの国のものでも、自国の政治体制や文化を反映して行われるものであるし、日本政府はそれを保証する義務がある。それにもかかわらず、政治的な理由で政府が差別的な政策をとることは絶対に許されるものではない。 朝鮮学校に通う子どもたちは学校を卒業しても日本社会の一員として暮らしていく人たちだ。そういう子どもたちに反朝鮮の視点をもって政治を介入させ差別することがどれほど不当なことであるのか。 今回の文部科学省の方針は戦後、在日朝鮮人に対して一貫して行われてきた同化と差別の政策をそのまま反映したものだといえる。 現在、地域社会では居住する外国人との共生、地域社会への積極的な参加を求める方向で動いている。その流れにも逆行するものだ。 長野県でも政府に対し方針の見直しを求める運動を進めていきたい。(日朝長野県民会議、喜多英之運営委員) [朝鮮新報 2003.3.1] |