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受験資格・差別は許せない−各界人士の声

駒込武(京都大学助教授)

 「日本政府の政策は在日朝鮮人の人権、その構成要素としての民族的な教育権を無視したものであり、戦後においても戦前の政策を反省していないばかりか、踏襲している。戦前から一貫して朝鮮や台湾の人々が自らの教育文化を創造しようとする営みを阻害し続けたことへの歴史的な責任が問われている」

 私が委員を務める京都大学の同和・人権問題委員会は昨年9月、外国人学校卒業生に受験資格を求める最終報告を出した。これはその中の文章である。最近になってようやく入学試験関係委員会で具体的な議論が始まったところに文部科学省の見解が出た。全国の国立大学教員に呼びかけ、近日中にアピール文を発表する予定である。

 文科省の方針は法技術論的にも不合理なことだ。その意向に従うのなら国立大の教員自身も民族差別の加担者になる。

高野秀男(朝鮮学校を支援する新潟県民の会事務局長)

 朝鮮学校などの民族教育は、日弁連をはじめ国連の子どもの権利委員会や人権規約委員会等が日本政府に対し、幾度となく「朝鮮学校の差別の是正」を勧告し処遇改善を要求しているとおり、日本国が批准した諸条約によって国際的に認められた基本的人権だ。

 今回の記事の伝えることが事実であるとすれば、日本政府・文部科学省はこれまで朝鮮学校をはじめとするアジア系の外国人学校と民族教育に対して行ってきた差別政策、人権侵害のうえに、更なる露骨な人権侵害、民族差別を上乗せするもので、到底容認できるものではない。

 国際世論に背を向けてきた日本政府が、今回差別の是正ではなくさらなる差別をはかることは、21世紀を担う次世代の教育機会の芽を摘みとる重大な人権侵害であり、あわせて人類益によって立つ日本の国益と、日本・アジアの平和友好と発展を真摯に願う国民の立場からも、それを自ら損なう行為として看過できるものではない。

 「新潟県民の会」は一昨年末に設立した『朝鮮学校を支援する会全国組織準備会』名で、文部科学省に『民族学校に大学受験資格等を求める申入れ』を行うべく作業を進めています。

山村ちずえ(兵庫、朝鮮学校を支えるおんなたちの会)

 朝日新聞に記事が掲載された翌日、いてもたってもいられず、遠山敦子・文部科学大臣あての抗議文をはがきにみっちり書いて送った。インターナショナルスクールにのみ大学受験資格を認める方針が検討されていることについて、一日本人として恥ずかしく思う。文部科学省はじめ日本政府の要人たち、またマスコミに「あなたたちは朝鮮学校をはじめとするアジア系外国人学校のカリキュラムや教科書を見たことがあるのか」と問いたい。

 各種学校扱いという制度的差別によって経済的にも厳しい負担を強いられているなか、日本学校と比べてもなんらそん色ない教育内容に加え、民族性を守るため朝鮮の言葉や歴史、文化までを学んでいる民族学校児童、生徒に対して大学受験資格を認めない理由はどこにもない。そのような差別が子ども社会に通用するのか。世界の笑いものである。日本人として絶対に認めることはできない。

[朝鮮新報 2003.3.4]