受験資格・差別は許せない−各界人士の声 |
大島令子(衆議院議員・社民) 私は朝鮮学校の処遇改善のため、昨年7月と今年2月に国会に質問書を提出した。在日朝鮮人は日本人と同じように日本の法を遵守し税金も等しく納めている。しかし、朝鮮学校は助成金問題をはじめさまざまな差別を受けている。そのため校舎が古くなってもなかなか建てかえができないなど、子どもを朝鮮学校に送る親は大きな負担を背負わされている。在日朝鮮人の置かれた歴史的経緯から見ても、朝鮮学校は当然、「一条校」と同等の扱いを受けるべきだ。 今回の受験資格の問題は、もしアジア系の外国人学校だけに認められない決定がくだされたなら、日朝間の情勢を反映した政治判断によるものだと言わなければならない。子どもの教育問題に政治的判断を持ち込んだとしたらたいへん遺憾なことだ。問題以前の問題だと言わなければならない。どこの国の子どもも自らの教育を受ける権利がある。朝鮮学校などアジア系の外国人学校を排除するのはどう考えてもおかしい。政府はきちんとした見解を示すべきだ。 そもそも日本政府が過去の清算をきちんとしてこなかったことが問題だ。朝鮮に対する植民地支配など過去の清算を誠実に行い日朝国交正常化を実現させていれば、こういう問題も起こらなかった。朝鮮に対する日本社会に根強く残る差別意識、日本政府の差別政策が根底にある。 今後、在日朝鮮人女性と連携しながら文部科学省に対する要請を行ったり集会などに参加して、ともに運動を進めていくつもりだ。 木村睦路(日朝教育・交流をすすめる愛知の会事務局長) 私ども「日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会」では、設立当初より、@朝鮮学園への県下の専修学校(全日制)と同等の経営費補助及び授業料軽減補助、A学校教育法の第1条に規定する学校に準じて扱う方向で検討してほしいということ、B朝鮮学校卒業生に対して愛知県立看護大学の受験資格を認めてほしいこと、C文部科学省に対して朝鮮学校卒業生の国立大学への受験資格を認めるよう県側からも強く働きかけてもらうこと―など、在日朝鮮人の子どもの幸せと学ぶ権利を守るための処置を推進してきた。 そして、民族教育の権利は基本的人権、その保証は世界の流れ、民族差別は許されるべきでない、カリキュラムも日本学校と類似している、などの理由から、今後も文部科学省にさらに強く働きかけていきたい。 金順連(東京朝高学父母) 受験資格問題に関しては、いい方向に向かっていると思っていたのに非常に残念だ。本来ならもっと早く解決していなければならない問題だ。文部科学省の方針は政治的判断によるものだと言わなければならない。朝鮮学校だけを排除するとあまりにも露骨なので、アジア系を排除したのだと思う。 大きな危機感を感じている。私も民族教育を受けてきたが、堂々と朝鮮人として暮らせるのは民族教育のおかげだ。民族教育がなくなれば日本での朝鮮人の存在がなくなると言っても過言ではない。民族教育に対する弾圧は在日朝鮮人自体をなくしてしまおうというものに他ならない。今回の問題は、日本社会の根底にある朝鮮人差別が明確な形で現れたものだ。絶対に許せない。(栃木県在住) 金敬子(東京第9学父母) 今回の文部科学省の方針ほど露骨な差別はない。何よりも腹立たしいのは、現在の朝・日関係の政治状況を子どもの教育問題に持ち込んだことだ。在日の子どもたちにはまったく関係のないことである。 子どもの学ぶ権利は、どこの国であれ平等なはずだ。文部科学省がこのような方針を示したということは、日本政府自身が子どもの人権を認めていないということだ。日本社会では通ったとしても国際的にはまったく通らないと思う。日本政府は世界に対し恥をさらしたことと同じだ。 また、たんに受験資格の問題だけでなく在日朝鮮人の人権全般に関わる問題である。日本政府はこれまでも朝鮮学校を差別の対象として処してきた。私が学生時代から状況は基本的に変わっていない。長年、朝鮮学校の権利獲得のために運動してきたが進歩がない。日本政府の姿勢はかたくなで壁を感じている。 朝鮮人であるというだけでなぜこのような差別を受けなければならないのか。日本の人たちと連帯しながら、あきらめずに運動を続けたい。(都内在住) [朝鮮新報 2003.3.6] |