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朝鮮学校児童、生徒への嫌がらせと関連し、法務省人権擁護局課長ら東京朝鮮中高級学校で実情把握

具校長らと意見交換する法務省人権擁護局関係者

 昨年9月以降相次いでいる朝鮮学校児童、生徒に対する暴言、暴行事件と関連して5日、法務省人権擁護局の柏原治課長をはじめとする人権擁護機関の役員7人が東京中高(東京都北区)を訪れ、実情を把握しようと同校関係者らと面談、意見交換した。

 日本政府の関係者が同胞の子供たちの人権問題をもって朝鮮学校を訪問するのは初めてのこと。一行は具大石校長、保護者代表、教員、生徒らと面談した。

 席上、具校長は昨年9月17日以降、全国各地で発生した朝鮮学校児童、生徒に対する嫌がらせ事件は300件を超えると指摘。集団登下校や第2制服(ブレザー)の実施などで再発防止措置を取ってきたが、生徒のなかには2時間以上かけて通学する子もおり、教員、保護者の対応にも限度がある、法務省をはじめとする各行政機関の早急な対策を求めたいと強調した。

 柏原課長は、ポスターやパンフレット配布などを通して再発防止を呼びかけるなど、同省が行ってきた啓発運動に対して言及しながら「個別の事案については、人権相談などを通して適切な措置を取るなど可能な限り努力していきたい。そのためにも関係機関との連携、協力を深めていく必要がある」と述べた。また同課長は、「訪問を予定していた吉戒修一局長が急な事情により来校できなくなったことをお詫び申し上げる」と、同局長名のメッセージを紹介した。

 その後、一行は校内を見学しながら食堂の食券販売機に記された朝鮮料理のメニューや生徒たちがクラブ活動に励む姿を見て回った。委員たちは「想像とはまったく違った」「今日の訪問によって朝鮮学校との距離が近くなったような気がする。生徒たちの実情をより多くの市民に伝えたい」と口々に感想を述べていた。(李明花記者)

大変心を痛めている−吉戒局長のメッセージ

 一連の拉致問題をきっかけに朝鮮学校児童、生徒に対する暴言、暴行などの嫌がらせが相次ぐなか、東京中高に通う女生徒さんがチマ・チョゴリの制服を切られるという事件まで発生したということで、大変心を痛めている。これらの行為に関して、2月6日に在日本朝鮮人人権協会から森山眞弓法務大臣に対し、在日朝鮮人に対する暴言、暴行、脅迫行為の再発防止のための迅速かつ実効的な措置を講じることなどについて要請が出された。これを受け、森山大臣の指示により、朝鮮学校に通う児童生徒さんに対する嫌がらせ、脅迫、暴行などの実情を把握し、今後の人権擁護の取り組みの参考とするため、訪問をお願いした。

 何の罪もない子どもに対するこのような行為は、憲法14条および世界人権宣言や人種差別撤廃条約などにおける人種差別禁止の理念に反し、人権擁護の観点からも見過ごすことはできない。法務省の人権擁護機関としては、関係機関と連携、協力して在日朝鮮人をはじめとする在日外国人の人権が十分尊重される共生社会の実現に向けた人権擁護活動に積極的に取り組んでいきたい。

[朝鮮新報 2003.3.8]