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各地の朝鮮学校63校の公開授業取材記者座談会

 既報のように、大学受験資格問題と関連し、民族教育の内容を正しく知ってもらおうと各地63の朝鮮学校で8日、公開授業が行われ多くの日本市民や同胞父兄が参加した。東京朝高、神奈川初中高、茨城初中高、愛知(名古屋初級)、大阪(東大阪中級)、広島初中高などを取材した本紙記者が取材で感じたこと、今後の課題について話し合った。

「百聞は一見にしかず」

 A 正直、真剣に授業に見入る姿に連帯というか、熱いものを感じた。茨城では、今回の受験資格差別問題を機に助成金など他の問題にも目が向けられつつある。

 E 東京の参観者たちは一様に、「百聞は一見にしかず」を実感していたようだ。授業内容やカリキュラムになんらそん色はなく、「受験偏重の日本学校教育に比べ、水準が高いと見受けられる」という元高校教師の言葉が印象的だった。

 B 神奈川では、訪れた日本市民たちが日本の教育は退廃しており、いつかは朝鮮学校を見習う時が必ず来ると言っていたのが印象に残った。

 C 東大阪朝鮮中級学校に来ていた井狩恵さんは今春、国立の大阪教育大学に合格。音楽の授業を見ながら、「日本の学校が日本語で授業するように、朝鮮人が朝鮮語で授業するのは当然のこと。文科省は認めないというが、日本の学校が朝鮮学校に比べ何が、どれだけ勝っているか疑問がわく」と、理不尽さを痛感した様子だった。

 D 愛知では、40代の男性が「日本は自らが批准している『国際人権規約』と『子どもの権利条約』や、加入している『人種差別撤廃条約』に違反している」「朝鮮人が日本に住むようになった歴史的経緯を無視してはならない」と、文科省の主張に疑問を投げかけていた。

 また、50代の女性は日本が植民地支配した直接の被害者・在日朝鮮人の子孫である朝鮮学校生徒の学ぶ権利は、日本政府が保障して当然と主張していた。

 F 広島では、学生と父兄の発言が参観者の胸に響いたと思う。金洋平くん(高2)は「勉強をしっかりしているだけでは駄目なのか」と訴え、李英姫オモニ会副会長は「青い目の外国人になれと言うのか。明らかな朝鮮、アジアに対するべっ視」と主張した。

各大学の対応紹介を

 A 急きょ決まった日程にもかかわらず、全体として理不尽な文科省の決定に怒りを表す日本市民たちが足を運んでくれたといえる。ところで今後、この問題にどう取り組んでいけばよいのか。感じたことは多いと思うが。

 E まずは、地域住民との交流を深め理解を得ていくことだと思う。「朝鮮学校に入ったのは初めて」「決められた教室しか見せてもらえないと思っていたので、こんなに自由に見てまわれるとは驚き」という感想が聞かれたからだ。

 B 神奈川でもそうした意見が多かった。30代の男性が生徒に、日本の友達はいるのかと聞いたら、ほとんどいなかったという。同年代の日本の子どもたちとの垣根を取り除き、日本学校との地道な交流をしていくことが重要だ。

 F いわゆる「真っ向勝負」も大事だが、運動の展開方法をもっと多岐にすべき。俗な言い方をすれば、日本当局が動きやすいように仕向ける方法も研究すべきということだ。

 D 各大学の対応を知ることも重要だ。というのも、私立大と公立大のほぼ半数(262)が独自の判断で、朝鮮学校卒業生にも受験資格を認めている。京大同和・人権問題委員会では、1999年から他の国立大に先駆け大学院レベルで外国人学校卒業生に対して門戸を開いており、大学側も今年度に受験機会を認めると表明している。

 C 何よりも急務な課題は、文科省に差別的な方針を撤回させる世論作り。今回大学受験資格から排除されたのは、朝鮮学校のみならず韓国、中華、インドネシアなどで、最近増えつつあるブラジル、ペルー人学校も外された。

 A 兵庫では、阪神・淡路大震災後に兵庫県外国人学校協議会が結成され、助成金アップをはかってきたし、2月にも差別なき対応を文科省に求めるなど対応が早かった。東京でもこうした動きがあり、他の外国人学校と力を合わせ差別的な決定をアピールしていけば、文科省の不当な決定をより普遍性を持って訴えていくことができるだろう。

[朝鮮新報 2003.3.13]