〈大学受験資格問題〉 中華、ブラジル、インター、手取り合い差別なくそう |
英米の学校評価機関の認定を受けた16校のインターナショナルスクールにのみ大学入学資格を付与するとした文部科学省の方針。日本で100年以上の歴史を持つ中華学校、近年増えつづけ、その数はいまや50校を超えるブラジル人学校、そして、今回認められたインターナショナルスクールの校長らも方針の誤りを指摘している。 欧米重視、アジア軽視
日本は国際化、グローバル化、そしてアジア重視とも言うが、やはり根っからの欧米重視、アジア軽視の考えがあると痛感した。中国、朝鮮、韓国などインターナショナルスクール以外はすべて除外されたが、どうしてだめなのか。日本で生まれ育ち、これからも生活する子どもたちを排除する考え方が理解できない。子どもたちの保護者は税金も納めているのに。さらに、アジア系の学校には日本の子どももいる。日本政府は今回の決定を子どもたちにどう説明するつもりなのか。理解に苦しむ。 華僑によって創立された本校は1999年に100周年を迎えたが、教育目標のひとつに中日友好事業に貢献できる人材の育成を掲げている。46年から02年までに本校を巣立った卒業生は5052人に及ぶが、卒業生たちは日本や中国はもちろん世界の各地で中日友好に貢献している。 中国の民間団体である中日友好協会の副会長は本校の卒業生。1972年の中日国交正常化の際、周恩来首相の通訳として活躍した元全国人民代表大会常務委員の林麗韞さんは戦後第4期生、作家で直木賞受賞者の陳舜臣さんは副理事長を務めた。 02年度の生徒は631人、生徒の半数は卒業生の子どもたちだ。日本で暮らしても中国語、中国の歴史を学ぶことで中国人としての誇りを育みたい−。この思いが学校を支えている。 文科省の差別的な方針を撤回させるため、機会をとらえて訴えていかなければならない。 兵庫では「阪神・淡路大震災」が起きた1995年に県内の外国人学校が手を取り合い、交流を深め、行政に対して処遇改善を求めてきた。その結果、県や市議会で外国人学校に対する理解が深まり、助成金は全国でトップレベルの水準だ。本校は中学までなので卒業生は県内の日本の高校に進むが、基本的に門戸が開放されていることも外国人学校に対する理解が進んでいる表れだろう。 今回の運動で兵庫の経験を生かせると思う。外国人学校同士が日本政府に対してともに声をあげていくことが必要だ。個別に運動をすると力がそがれるし、一緒に行動してこそ、日本政府を引き出せると思う。(金翼、神戸中華同文学校校長) 現実に合った教育法を 今回の改正について、改正の枠の外に置かれた朝鮮人学校や中華学校の方々の無念さはよく理解できます。それに政治的な要素が、罪のない子どもたちの将来を左右するというのは、まことに残念なことです。しかし一方から考えるとこの改正は一歩前進で、これから来るべき教育改革の第一歩だと思います。長い間、1条校と専修学校と各種学校しか認められていなかった、非常に大ざっぱな学校教育法を、現実に合ったきめ細かいものに変えていくべきだと思います。つまり、民族学校、インターナショナルスクール、さらにもっと多様な学校形態が生まれ、それぞれの特徴を生かし、それぞれのやり方で日本教育界に貢献できる日は、そう遠くないと思います。 コミュニティスクールや英語のエマージョンスクールの誕生などなどはそれを予感させます。 皆さん、夜明けは近いと思います。力を落とさないでがんばりましょう。(松本三郎、西町インターナショナルスクール名誉校長) 本国は認定、なぜダメ?
第1、2次世界大戦によって貧しくなった日本からブラジルへ渡った25万人の日本人がいる。彼ら日系人の子どもたちは、ブラジルで有名なサンパウロ大学に入学しており、同大学の教員中15%は日系人だ。 その現状は逆転し、27万人の日系ブラジル人が日本へやってきた。27万人中、3万5000人が就学年齢(6〜17才)に達した子どもたちだが、7000人がブラジル人学校に通っている。そして、1万5000人が日本の公立学校に、1万3000人は学校に通っていないが、その子どもたちのためにブラジル政府は何の援助もしていない。 ブラジル人学校の児童、生徒たちにとっても日本の大学に入るのはひとつの目標だ。よくわからないことは、日本人の子どもはブラジルで一番レベルの高い大学に入れるのに、同じ日系人の彼らがなぜ日本の大学に入れないのかということだ。 今後、受験資格問題を解決するため、さまざまな外国人学校と力を合わせ、一緒にがんばりたい。(ペドロ・メンデス、コーラジオ・ピタゴラス校長) ※ブラジル大使館によると、日本にあるブラジル人学校は50校を超える。そのうち本国の認可を受けた学校は25校で高校段階まである学校は13校。浜松市にあるコラージオ・ピタゴラスも高校段階まである。 [朝鮮新報 2003.3.18] |