在日同胞青年学生、大学受験資格問題と関連し都内で集会とデモ−日本市民も合流、アピール |
朝鮮学校などを大学受験資格から排除するという文部科学省の方針に抗議、「民族教育に対する不当な差別を許さない在日同胞青年学生集会」が20日、東京都港区の芝公園で行われた。朝青、青商会、留学同の各団体と東京、西東京、神奈川、埼玉、千葉の各地域同胞青年らとともに日本市民らも駆けつけ、約1400人が参加した。 基調報告を行った朱相礎実行委員長(朝青中央常任委員会委員長)は冒頭で、日本政府は他民族に対する前世紀的な人権侵害と権利剥奪行為をはたらこうとしていると指摘。アジア系排除方針の本質と不当性は、@民族教育事業への歴史的な差別と迫害に加重される21世紀の新たな権利侵害行為A非民主的な時代錯誤の民族差別政策B反朝鮮敵対感情をあおる政治的迫害行為−の3点にあると述べた。 また、今回の闘いは単に大学受験資格獲得をめざすものではなく、日本当局による民族教育迫害政策の不当性を暴き、権利侵害行為を決して許さないという在日同胞の意志をはっきり示す闘いであると強調。未来を担うわれわれ同胞青年学生が先頭にたち、民族教育権利の全面的獲得に向けた突破口を開こうと呼びかけた。 つづいて、連帯のあいさつが行われた。最初に登場したピースボートの野平晋作共同代表は、「午前中に総聯の人々とともに文科省へ要請活動を行った。その席で『アジア系を含め再検討するという報道は事実か』と問い詰めると『そんなことはない。まったくの誤報である』という答えが返ってきた。あらためて怒りを覚える。何の根拠もない明らかな差別。世論が圧力をかけ続けていくことが重要だ。最後まで共に闘おう」と語気を強めた。
吉田雅人日本社会主義青年同盟委員長は、「今回の対応には、日本という国がこれからどこに向かおうとしているのかが露骨に示されている。このような差別がまかり通れば、日本政府は日本に住む全ての外国人から支持されないだろう。平和で崇高な教育環境をともに作ろう」と語った。 在日韓国青年同盟中央本部のリ・ヨンホ部長は、「教育権利は誰も侵すことのできない神聖なもの。今回のアジア系排除は、明治時代から続く一貫した民族抹殺政策であり、対北敵視政策とも深く関係している。全ての努力を傾け、子どもたちの輝かしい未来のためにがんばろう」と訴えた。 集会では山元勉衆議院議員(民主)、大島礼子衆議院議員(社民)、石毛瑛子衆議院議員(社民)、植田むねのり衆議院議員(社民)、東和文日本青年団協議会会長、衛藤利明日本教職員組合青年部長、及川隆浩全日本自治団体労働組合青年部長らのメッセージが紹介されたあと、2人の学生代表が討論した。 はじめに李玉琳さん(東京朝高2年)が発言。「教育水準は日本の学校に劣らないばかりか、朝鮮の歌を歌い、踊りを舞い、民族の誇りをしっかり育んでいる。朝鮮学校を訪ねもせず、教科書も開くことなく一方的に大学受験資格を排除するのは絶対に許せない」「殺伐とした社会世論が意図的に作り出され、チマ・チョゴリを堂々と着ることすらできない状況の中で、さらに学ぶ権利すら奪おうというのか。どこまで朝鮮学校の生徒を苦しめれば気がすむのか」と涙ながらに訴えた。 つづいて金光一さん(留学同西東京支部、東京農工大1年)は、「直接的な被害者の一人として怒りを抑えきれない。朝鮮学校の卒業生が日本の大学に合格できるほど、民族教育の質が高いことを自分は証明した。植民地時代と変わらない朝鮮蔑視が横行している。私たち新世代が立ち上がろう」と力強く呼びかけた。 最後に青商会の黄元圭会長が集会アピール文を朗読、全会一致で採択された。 集会後、参加者らは差別撤廃を要求する横断幕やプラカードを手に、芝公園から文科省前を通り日比谷公園まで約1時間のデモ行進を行った。 日比谷公園では急きょ駆けつけた今野東、近藤昭一両衆議院議員(ともに民主)がデモ参加者を激励した。日本人参加者のうちのひとり、栗嶋聡子さん(ピースボート)は、「在日コリアンのパワーを感じました。文科省の態度は、日本人のひとりとしてほんとに恥ずかしい。日本社会の中でわれわれ日本人が差別撤廃を積極的に訴えていきたい」と述べていた。 [朝鮮新報 2003.3.22] |