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〈大学受験資格問題〉 与野各党も疑問視、批判

 外国人学校卒業生の国立大学入学資格(受験資格)問題と関連し、日本の与野党から文部科学省の対応を批判する声が相次いでいる。アジア系の学校排除について、自民、公明、保守新党の与党3党の幹事長と国会対策委員長は12日の会談で、「これは(黙認できない)非常に大切な問題」との認識で一致した。一方、野党の民主党、社民党はそれぞれ、関係部門の各プロジェクトチームが文科省の担当者や朝鮮学校関係者らからヒヤリングを行った。議員からは「絶対におかしい。(朝鮮学校の)実態調査もしないのは(文科省の)怠慢だ」「朝鮮学校の民族教育は日弁連、国連人権委員会も認めている国際的に公認された教育だ」などとの声が上がっている。

アジア系排除は「時代逆行的」−与党3党幹事長

 与党3党の幹事長と国会対策委員長は12日午後、国会内で会談し、受験資格問題について協議した。席上、公明党の冬柴鉄三幹事長が「なぜ欧米系の学校がよくてアジア系の学校はダメなのか。教育の国際化が進んでいる中でこのような時代逆行的なことでいいのか」と指摘し、アジア系の学校にも大学入学資格を認めるべきだと主張。各幹事長と国対委員長も「これは非常に大切な問題」との認識で一致したという(公明新聞13日付)。なかでも公明党の対応は早く、6日に文科省が正式発表した一週間後の13日、冬柴幹事長、北側一雄政務調査会長、斎藤鉄夫文部科学部会長が国会で遠山敦子文部科学大臣に要望書を手渡し、「04年度までに受験資格を」と具体的に提案した。

「実態未調査は怠慢」−民主党

文科省の対応に批判が相次いだ民主党のヒヤリング(18日、参議院議員会館特別会議室)

 18日に参議院議員会館特別会議室で行われた民主党の、「在日外国人に係わる諸問題に関するプロジェクトチーム(座長=江田五月参議院議員)」のヒヤリングでは、文科省高等教育局大学課の清木孝悦課長、岡山朝鮮学園関係者らに対し、議員らが質問を行った。

 清木課長は、受験資格認定から除外された学校に対する実態調査を行ったのかという江田座長の問いに、「いろいろな学校があるから」と事実上、調査を行っていないことを明らかにした。また今回、英米の評価機関を認定基準にした理由については「広く評価されている機関だから」と答えた。

 これに対し岡山朝鮮学園の李康烈理事長は、「日本の高校と同等以上の学力がある朝鮮学校の実態は無視し、なぜ外国機関の評価を基準にするのか」と疑問を呈した。大阪・民族教育促進協議会の金光敏事務局長も、「その外国の認定機関の評価には聖書をどれだけ教えているのかも含まれている。文科省はその機関の評価基準についても知っているのか。定住外国人である韓国、朝鮮、中国人系の学校を外すのは、文科省の狙い撃ちとしか考えられない」とさらなる疑問を投げかけた。

 各議員からは、「文科省は検討中というが、実態も調査しないのはおかしい」「調査もしないのは怠慢だ」などとの声が上がった。

 李理事長は清木課長に、文科大臣あての要望書をその場で手渡した。

「国会でたたかう」−社民党

 社民党は12日、衆議院第1議員会館で「教育プロジェクトチーム」(座長=中西績介衆議院議員)会議を開き、土井たか子党首、福島瑞穂幹事長ら16人の議員らが参加。教育会中央の鄭秀容副会長と総聯埼玉県本部の尹東煥副委員長が招待された。

 会議では鄭副会長が講演し、日本政府の学校閉鎖令による朝鮮学校への弾圧、JR定期券割引率差別など在日同胞を取り巻く差別とそれに対する同胞らのたたかいの歴史について言及しながら、今回の文科省の決定は新たな差別であり、絶対に許すことができないと語った。

 出席した議員らは、「朝鮮学校の民族教育は、日弁連、国連人権委員会も認めている国際的に公認された教育だ」「日本人として恥ずかしい。国会でたたかいたい」と述べていた。

[朝鮮新報 2003.3.25]