日本政府への日弁連勧告実現へ−大阪で朝鮮人強制連行真相調査団03年全国協議会 |
朝・日合同による朝鮮人強制連行真相調査団の2003年全国協議会が15日、大阪市北区の山西福祉記念会館で開かれ、朝鮮人側団長の河秀光・総聯中央同胞生活局長、日本人側団長の鈴木二郎・東京都立大学名誉教授をはじめ、各地の調査団メンバーら50余人が参加した。協議会では、@教育現場でのフィールドワークA各地の調査、活動B今後の運動−の3つのテーマに分かれて報告。「日本側は過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め」とした朝・日「平壌宣言」(第2条)の原点を再確認し、さらなる活動を繰り広げていく契機となった。また調査団が独自に入手した強制連行者名簿を2月初に南で初めて公開したことを機に、今後は日本国内にとどまらず北南朝鮮共同での調査実施や、戦後初めて日本弁護士連合会が日本政府に行った「朝鮮人強制連行、強制労働」に関する勧告(昨年10月、真相究明と尊厳回復)を実施させるため、犠牲者の遺骨調査などを全国一斉に行うことなどが提案された。【山口調査団】 各地からの報告
協議会では各地からこれまでの調査、活動報告が行われた。 愛知調査団の金順愛事務局長は、強制連行被害者の遺族とともに人権救済申し立てを行い、日弁連の勧告を実現させたことについて報告。とくに勧告実施のために、実効力ある問題提起の方法として質問趣意書(各国会議員が議長を経由して内閣に対して行う質問)を提出した事実に触れながら、政府答弁書も文書として記録に残るため、極めて有効的であり、一枚の文書で政府を動かすことのできるこの方法を各地でも取り入れようと強調した。 大阪調査団の塚崎昌之団員は昨年、44〜45年の旧陸軍の電報などを発見、資料が皆無に等しい戦争末期の実態解明に大きく近づくことができたと語った。 この電報からは、45年4月以降、朝鮮北部から5万人以上が「徴兵」され、「農耕勤労隊」などに編成された後、日本国内で食糧生産や港湾、陣地作りに動員されるという、新事実を突きとめた。また「徴兵」形式を取ったのは、逃亡防止のほか、本土決戦になれば彼らを兵士に転用できたからだったとも指摘した。 フィールドワーク
ここ数年、各地の調査団では、調査結果を教育現場で活用する取り組み(フィールドワーク)にも重点を置いてきた。 この点についてまず関西地方の大阪、京都、奈良の代表が、教員の研修、教材用として製作した現地の案内ビデオを紹介した。 また福岡の「東録団員は、5年間で県内の学校など250カ所で「強制連行−朝鮮の歴史、文化」をテーマに講演を続けてきた経験について語った。共に教員研修会などで講演を行った山口の金静媛事務局長は、平壌宣言以降の「拉致」過剰報道の中、約200人の日本人教職員、1500人以上の生徒らに強制連行、在日への人権侵害の事実について訴えた結果、日本人生徒らから「加害の歴史を踏まえ、仲良くしていきたい」などの感想文が寄せられたエピソードなどについて述べた。 今後の運動方針 今後の運動方針に対する提案では、洪祥進朝鮮人側事務局長がまず、2月に初めて南で41万人分の名簿を公開し、南の各調査団体をはじめ、市民らから大きな反響を得たことについて紹介した。そして今後、日本各地に放置されている同胞の遺骨調査を一斉に行い、日本政府の責任を明確にさせることを含め、南と北の調査団体が協力して真相究明活動を繰り広げていくことを提案した。 また協議会では、秋田、岐阜、富山、兵庫のほか、このたび再結成される東京調査団からの報告も行われた。 [朝鮮新報 2003.3.27] |