〈大学受験資格問題〉 各地で朝・日共催の集会 |
「許せない民族差別! 民族学校卒業生の大学入学資格を求める集会」が26日、大阪天王寺区のたかつガーデンで行われ、約100人の同胞、日本市民らが参加した。集会は同実行委員会を中心に、大阪教組、自治労大阪本部、部落解放大阪府連合会など6団体の共催で、運動の広がりをうかがわせるものとなった。また、西東京地域の日本市民と朝鮮学校関係者が主催した「民族学校への国公立大学受験資格差別に反対する三多摩集会」が26日、立川市の三労会館で行われた。 胸打った朝高生のアピール(大阪)
「日本当局の不当な措置と法でたたかうため、法学部に進むことを決めた。朝鮮の言葉や文化、歴史を学んで人間としての力を培ってくれたのが民族教育。12年間民族教育を受けることができて幸せだと思う」 集会で参加者の胸を打ったのは、4人の大阪朝鮮高級学校出身生のアピールだった。3月に大阪朝高を卒業し、4月から関西大学法学部に進む李聖和さんはこのように述べながら、民族教育のすばらしさを知っている自分たちがもっと積極的に、朝鮮学校の存在を広めていくべきだと強調した。 4月から高級部3年になる金星姫さんは、「民族教育は、日本の教育と比べてもなんらそん色はない。私が大検に1回で合格したことでもそれは証明できたと思う。朝鮮人をはじめとするすべての外国人が日本人と共存できる社会を作っていこう」と訴えた。 大阪府立看護大学4年の尹佳愛さんは、大検の受験資格すらなかった高校時代の苦労について述べながら、「朝鮮学校に行っているというだけで、なぜこれほどの負担を負わなければいけないのか。もっと朝鮮学校を知ってほしい」と語った。 また、蔡成泰・大阪府教育会会長は経過報告の中で、「大阪朝高の卒業生約1万人中、4000人は日本の大学に入学している。こうした事実には目をふさぎ、朝鮮学校に大学入試資格を認めないという文部科学省の方針はどんなことがあっても許されるものではない」と文科省方針の不当性を非難した。 講演を行った杉原達・大阪大学教授は、今回の問題が朝鮮人をはじめとする外国人と日本人にとって抜き差しならないものであることを歴史的責任、人権侵害、教育の国際化という3つの観点から話した。 杉原教授は、植民地支配下で日本語を「国語」として強要した歴史的責任からも、日本の教育を外国人に押し付けてはならないと指摘。文科省の方針は政府が批准・加入している子どもの権利条約や人種差別撤廃条約の条項にも明らかに抵触していると述べた。 また、2日に発表された民族学校出身者の受験資格を求める国立大学教職員の声明に99の国立大学中、79大学の教職員1388人が声明に賛同していることを紹介、阪大で27人、大阪外大で16人、大阪教育大で9人の教職員も賛同していると報告した。 日本市民ら文科省前でハンスト(西東京) 三多摩集会は日朝友好親善三多摩会議、三多摩平和運動センター、三多摩日朝女性の集い、町田朝鮮学校を考える、チマ・チョゴリ友の会、西東京朝鮮第1、2初中級学校が呼びかけたもので80人が参加した。集会ではテレビ朝日で放映された「開かれた朝鮮学校」が上映された後、在日本朝鮮人教育会の鄭秀容副会長が「朝鮮学校の資格問題」と題して講演した。 鄭副会長は、日本政府による朝鮮学校差別を学校閉鎖を迫った第1段階、外国人学校法案を通じた第2段階、そして各種学校を盾にした第3段階と歴史的に振り返りながら、文科省が朝鮮学校をかたくなに差別するのは、「朝鮮学校問題を治安問題として捉えてきたからだ」と指摘。日本弁護士連合会が98年2月に発表した調査報告書で指摘した通り、「外国人の尊厳を保障するため、教育の権利を保障しなければならない」と述べた。 つづいて3日間にかけて文科省の前で同胞とともにハンストをしたチマ・チョゴリ友の会・松野哲二さんら日本市民の発言が続いた。 松野さんは、受験資格差別に反対する同胞の姿に勇気を得たとしながら、「今後も交流の過程で差別の根深さを考えていきたい」と語った。 [朝鮮新報 2003.3.29] |