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〈外国人登録原票不当入手事件〉 繰り返される人権侵害、25都道府県から675人分

 公安調査庁(公調)は1999〜2001年までに、破壊活動防止法(破防法)の調査を口実に最低でも25都道府県37市区から675人分の在日同胞の外国人登録(外登)原票の写しを入手していたが、長野県弁護士会はこのほど県下87人分の写しを入手した長野公安事務所に対し、所長名義の警告書を送付し人権侵害の再発防止を促した。弁護士会は、原票写しの入手は「調査権の濫用」、「被請求者のプライバシーの権利侵害」にあたると断定、公調の不当な「総聯監視」を浮き彫りにするものとなった。

逸脱する権限

 同様の事件としては1996年、小平警察署が「出入国管理及び難民認定法違反捜査」を口実に、15年以上にわたって市内3000人以上の原票を入手していたことが発覚している。これに対し日本弁護士連合会・人権擁護委員会は2001年11月、小平警察署長に勧告書、小平市長に要望書を提出し、人権侵害を繰り返さぬよう求めた。

 また当時、法務省も小平市の対応は不適切、間違っていると指摘し、少なくともどこの役所が何の目的のためにどのような外国人について情報が必要なのかということを公文書に明記しない限り原票を開示してはいけないという通達を出した(96年12月6日)。

 さらに、指紋押捺制度を全廃した99年の外登法改正時、衆議院法務委員会は「登録原票の開示にあたっては、外国人のプライバシーが不当に侵害されることがないよう適切な措置を講ずること」と付帯決議している。

 このように同様の事件が発覚、人権侵害と規定され、さらには法律でその開示が制限されているにもかかわらず、99〜2001年にわたって少なくとも、公調は25都道府県37市区から675人分の外登原票の写しを入手していた。

 破防法第27条では、公安調査官は法が規定する範囲内において必要な調査ができるとしているが、今回の事件は完全にその権限を逸脱している。そのため長野県弁護士会も今回、長野公安調査事務所に送付した警告書で、「調査権の濫用」と所長に警告した。

慎重な運用を

 一方、原票の写しを交付した4市(長野、須坂、上田、松本)の長と、県市長会長、県町村会長に対して長野県弁護士会は要望書を送付。「探索的、網羅的な交付請求には応じないこと」と、「個人のプライバシーの権利の侵害に当たらないよう慎重な運用」を求めた。

 とくに外国人登録法第4条の3第6項では、原票の「請求を必要とする理由」が明らかでない場合には、破防法の調査権の濫用、あるいは外国人のプライバシーの侵害になることを理由に、開示を拒むことができると明記されている。

 全国の自治体も、同じことが繰り返されぬよう、改善が求められる。(羅基哲記者)

[朝鮮新報 2003.4.10]