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大学入学資格求める東大シンポ−出演者の発言内容

 12日、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)で行われた「すべての外国人学校に大学入学資格を!―多民族、多文化共生をめざすシンポジウム」。国立大教授らが発起し、その「総本山」で行われた集会は、仏学校元保護者をはじめ各界各層の日本市民、外国人が多数参加するなど、運動のさらなる広がりを見せるものともなった。出演者の発言をまとめた。(文責・編集部)

 東京朝高の高正光さん(3年) 文部科学省は一度も私たちの学校に訪ねてきてないのに、どうして私たちの学校のすばらしさも知らずにこういう判断が下せるのかと悲しく、腹だたしい気持ちでいっぱいだ。私たち朝高生はこの問題に関する強い反対の気持ちを持ち、教員と生徒の集会を開いた。文部科学省への処遇改善を求める要請書を作成し、本校の代表が直接文部科学省へ提出した。3月中旬には東京、神奈川、茨城の各朝高生が集まり、大規模なデモ行進も行った。

 5月には文部科学省の池坊保子政務官が私たちの学校を初訪問すると明言した。これを励みに、今後は日本の人たちにも署名を求めるなど活動を続ける予定だ。反対し続ければ道は開けると信じ、権利を獲得するまでたたかい続ける。

 リセ・フランコ・ジャポネ元保護者のデレウゼ好子さん ベルギー国籍の男性と結婚。子どもたちに両親双方の言葉と文化、チャンスと可能性を与えたいと、フランス人学校を選んだ。当時の父系血統主義により、日本の公立学校に入れると、外国籍なのに日本語しかできない外国人になってしまうのではという思いもあった。上の息子が日本の大学を受験する時、彼にどのような受験資格があるのかを調べた。その結果わかったことは、海外子女でも留学生でもない私たちの子どもは日本の大学に入れる何の枠もないということだった。子どもたちを優遇してくれと言っているのではない。自分のルーツを大事にしながら、同じ日本社会の一員として日本人の子どもと同じスタートラインに立たせてやってほしい。

 大妻女子大の鄭暎惠教員 息子は日本国籍のダブル。公立の日本学校へ通わせたが民族差別を受け、小1の途中から不登校に。「鄭という名前を使いたくない」とまで訴えたため、今度はインターナショナルスクールへ送った。区役所の学校教育課では、「日本国籍を持っているのに各種学校の認定も受けていないインターに送るとは、義務教育違反。今後日本学校に戻ったとしても小2から始めるべきだ」とまで言われた。だったら「日の丸・君が代」をやめて、不登校の子でも行きたくなるような学校を作ってくれと言いたい。実際のインターは日本国籍が過半数を占め、在日も多かった。追い詰められて行き場をなくした子が集まっている。学費が高いうえ、中学までしかないため、大学どころか高校入学資格はどうなるのか。本人はもちろん保護者も先が見えない苦しみに悩んでいる。日本の学校教育のシステムそのものを考え直さなくてはいけないのでは。

 多文化共生センターの王慧槿さん 東京中華学校、都立高校を経て、日本の大学を卒業した。民族学校の具体的な状況を行政に突きつけ、矛盾点を明らかにするための資料作りを行っている。民族学校では、これからも日本社会で生きていく子どもたちが学んでいる。カリキュラムには日本の教育をたくさん取り入れている。このような現実の中で国立大学が門戸を開かないのは実情に合わない。政府が少数者に対して温かいまなざしを持ってくれないとなかなか社会は開けない。日本政府は嫌いだという思いを抱き続けている少数者の思いを多数者が溶かしていくことから、互いが共存していける社会、多文化共生が実現すると思う。

[朝鮮新報 2003.4.17]