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受験資格問題今後の課題−「氷山の一角」根本的解決を

 大学入学資格、いわゆる大学受験資格問題は3月末に再検討方針が発表されたものの、自民党の一部、タカ派議員らが再検討に反発。つまり「朝鮮学校だけはまかりならん」「インターナショナルスクールのみ認めればいい」と騒ぐなど、まだまだ油断できない状況にある。

 また、アジア系民族学校等排除に反対する声の高まりにより、再検討を表明した文科省が税制上の問題ではそのままアジア系民族学校等の排除を強行したのは、文科省・日本政府がその考え方を根本的に改めたわけではないことを如実に表していると言えよう。

 そもそも朝鮮学校をはじめ外国人学校が日本の法制度上、正規の学校としての位置づけがなされず、そろばん学校や生け花学校と同じ「各種学校」の枠に置かれていること自体に問題がある。それも従来、文科省は「各種学校」としてすら認めようとしてこず、各都道府県の知事によってかろうじて「各種学校」の地位が与えられてきたに過ぎないのである。

 したがって問題の根本的解決のためには内容的には民族的、自主的な教育を保障し、かつ法的地位においては正規の学校としての、つまり学校教育法における1条校と同等に位置づける法制度の整備が必要であることは日弁連勧告(1998年2月)等も指摘するところである。

 大学受験資格問題は、不当な文科省の姿勢によってもたらされた矛盾の中でも「氷山の一角」であることは言うまでもない。しかし、そうであるからこそ、その「氷山」、そしてその「氷山」をつくる原因である根本の問題を多くの人に理解してもらうための非常にわかりやすい「きっかけ」ともなる。

 私たちは子どもたちの進路選択の自由、夢の選択肢を不当に妨げるこの大学受験資格問題について断固闘い、その解決を勝ち取るべきである。と、ともに同じ進路の問題である国家資格取得における差別の問題や今回不当に断行された税制上の問題、そして助成金の問題といった各問題についてもより積極的に声を挙げ、運動を展開していくべきである。

 そして、その運動の過程を通してより多くの人々に「氷山」全体とその根本原因について伝え、その根本的解決につなげていく努力が今、求められていると言えよう。(金東鶴、人権協会事務局)

[朝鮮新報 2003.5.12]