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〈大学受験資格獲得へ(2)〉 東京外国人学校絵画展

 外国人学校同士、交流を深めようと2年前から行われてきた第3回「東京外国人学校合同絵画展」が5月14〜19日、都庁で行われた。文部科学省が一部インターナショナルスクールにのみ大学受験資格を付与し新たな差別を作り出そうとしているなか、参加校代表たちの間には、「こんな時だからこそ手を取り合っていこう」という連帯感がみなぎっていた。

「こんな時だからこそ」

絵画展のオープニングには各学校の校長らが顔をそろえた

 不当な差別的処遇を受けてきた日本の外国人学校。そのような現状を打開するためになんとか力を合わせて改善を訴えていけないかと、東京では数年前から各学校間で話し合いがもたれてきた。

 「まずは取り組みやすいことから、日本市民に広く存在を知ってもらおうと絵画展を開くことにした。子どもたちの未来のために、という共通点で各学校の意見が一致した」(事務局の金順彦・東京朝鮮学園副理事長)

 01年5月の第1回目の絵画展には、東京中華学校、東京韓国学校、東京朝鮮学園、聖マリア学園セント・メリーズ・インターナショナルスクールの4学園が参加。約280点におよぶ国際色豊かで想像力にあふれた絵が都庁1階の展示場を埋め尽くした。

 「日本の首都である東京、それも都庁で、東京にある外国人学校がともにイベントを開いた意義は大きい。子どもたちが描いた絵を通してそれぞれの学校の存在を都民に知ってもらうことができた」(張建国・東京中華学校副理事長)

子どもも喜ぶ

 子どもたちの絵を通じた出会いは、それぞれの学校にどのような影響をおよぼしたのだろうか。

 「他の外国人学校とそれぞれの国の文化に対する理解を深めるうえで、生徒たちに良い影響を与えることができた」と語るのは、陳哲燦・東京中華学校校長だ。

 金龍満・東京韓国学校校長も「とくに同じ同胞同士である朝鮮学校とのつながりは、子どもたちに民族性を育むうえで良い刺激となっている」と顔をほころばす。

 事務局メンバーで、東京朝鮮第5初中級学校で美術を教える金聖蘭教員は、「回を重ねるごとにそれぞれの学校の民族色が強くなっている。子どもたちはもちろん、指導教員の意識が触発され、互いに刺激を与え合っているようだ」と過去3回の絵画展を振り返る。

インドネシア学校も

 2回の絵画展を通し、参加校が着実に信頼関係を築いていくなかで今年2月、大学受験資格をインターナショナルスクールにのみ与えるという文部科学省の方針が明らかになった。

 文科省に対するあからさまな差別への怒りは各学校共通しており、実行委はこんな時こそ絵画展により多くの学校に参加してもらおうと奮起。1回目に参加したセント・メリーズや2回目参加のアメリカンスクールは出展を見合わせたものの、「とにかく最後まであきらめないで参加者を募った」(金副理事長)結果、開催の1週間前に東京インドネシア共和国学校(目黒区)が初めて名乗りをあげた。

 14日の開会式に参加した同校のユーコン・プトラ校長は、「参加できてとても光栄。これを機に他の外国人学校とも交流を深めたい」と笑顔で述べていた。

 「文科省の差別が明らかになった時期、日本社会のなかに外国人学校の存在をアピールできたのはとても意義深いこと」(金校長)、「古来から交流を続けてきた中国や朝鮮半島などアジアの国々と日本は兄弟のようなもの。なぜ私たちだけを差別するのか」(陳校長)と常連校もつながりを確かめ合っていた。

 東京で定着しつつある外国人学校合同絵画展。「今後も文化交流を実現しながら、外国人学校に対する日本政府のさまざまな制度的差別の是正にともに取り組んでいきたい」(林桂澔東京第5初中校長)と関係者は決意を新たにしている。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.5.31]