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〈大学受験資格獲得へ(3)〉 大学受験資格求める東大阪大集会

 4月24日、地域同胞、日本市民ら400余人が参加し行われた「民族学校卒業生に大学受験資格を求める東大阪大集会」。そこには日本政府が打ち出した新たな民族差別の解決を地域の課題としてとらえ、手を取り合う住民たちの連帯の姿があった。

緊急学習会も

集会には予想を上回る400余人の同胞、日本市民が参加した

 同集会は、東大阪地域民族教育対策委員会(東大阪南、北、東、八尾柏原の各総聯支部)と、東大阪市教職員組合、その他の市民団体が共同で呼びかけ実現したもの。

 集会を持つにあたり、関係者らはこの問題に対する緊急学習会、近隣駅頭でのビラ配布や署名運動などを事前に行ってきた。

 当日は予想を100人以上も上回る400余人が参加。大阪朝高生徒、教員をはじめとする同胞と日本市民らが差別撤廃を訴え、連帯を呼びかけるアピールをそれぞれ行った。朝鮮問題研究会に所属する花園高校の女生徒たちが茶髪にルーズソックス姿で、「夜間中学やデイハウスに通う1世ハルモニたちから学びたくても学べなかった青春時代の話を聞いた。民族学校に対する差別はハルモニたちが受けた植民地時代の弾圧政策そのもの」と涙ながらに訴える場面もあった。中華同文学校で教鞭を執っていた王克非さんは、「在日外国人と日本市民が力を合わせ、権利獲得のために闘っていこう」と力強く呼びかけた。

「日本教育の問題」

 民族教育対策委メンバーの金大守さん(東大阪朝鮮初級学校教育会会長)は、「この地域の特徴を生かし、何かできないかと考えた結果、多くの日本市民に呼びかけ集会を開こうということになった。準備作業を通じ、地域の日本市民との連携をいっそう深めることができた」と語る。

 朝・日首脳会談直後に相次いだ朝鮮学校児童、生徒への嫌がらせに対し、「すべての子どもたちの人権を守ろう」との声明を発表した東大阪市教職員組合では、70年代から「日本の教育の中にある問題」として部落、障害者問題などとともに在日朝鮮人の教育問題についてもとらえてきた。日本の学校に通う同胞児童、生徒らが民族衣装に身を包んで地域の商店街をパレードしたり、今年で8回目を迎える国際交流フェスティバルを開催するなど、国際交流にも長年力を注いでいる。

 集会を共催した同教組の林二郎執行委員長も、「朝鮮学校を排除するというあからさまな差別政策に対し怒りを禁じえない。当日は夜間中学に通う1世オモニたちも多数参加したが、彼女たちをはじめ、朝鮮学校の保護者たち、他の在日外国人がともに地域から声を上げることができた意義は大きい」と語る。

心を一つに

 市内に大阪朝高と東大阪初級学校を有し、60カ国、1万9863人の外国人が暮らしている(4月末現在、同市文化国際課調べ)東大阪地域では1994年に市民と同胞らが共同で要請団を構成、「東大阪における韓国、朝鮮人をはじめ在日外国人の諸権利」を擁護するための要求を同市長、市教育長あてに行ってきた。2000年10月には「東大阪市外国籍住民施策有識者会議」が発足。翌年3月には同市に対し、朝鮮学校の処遇改善を求める項目も盛り込んだ提言がまとまり、提出された。

 集会の事務局メンバーで、NPO法人「東大阪国際共生ネットワーク」の田村幸二さんは、「この問題が持ち上がった時、自分の問題として何らかの形で反対意志を表明できないかと思っていた。その矢先に金大守さんから『一緒にやらないか』と誘いを受け、普段の交流のなかで出会っている人たちが力を合わせて『違うのでは』 と声をあげることができた。このような地域の特徴を生かしながら、今後も苦しい立場に置かれた仲間たちの苦しみを一つ一つほぐす取り組みをしていきたい」と語る。

 長年の取り組みが大集会へとつながり、心を一つにして闘った同地域の同胞と日本市民たち。金大守さんは、「集会を開いて終わりではなく、これからがスタート。文部科学省が再検討の結果を発表するとしている7月末までにまた何らかのアクションを起こしたい。同胞の子どもたちと日本の子どもたちが手を取り合ってともに育っていく社会をまず、この東大阪地域から実現していきたい」と抱負を語っていた。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.6.6]