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〈大学受験資格獲得へ(6)〉 3万人署名展開する京都

 京都府の同胞と日本市民は、朝鮮学校出身者の大学受験資格問題解決に向けた運動の先頭に立ってきた。京都民族教育対策委員会は7日に行った3回目の緊急集会で7月12日までの40日間、同胞と一般市民を対象にした「3万人署名運動」と「京都著名人士500名署名運動」の展開を決定。「検討中」と受験資格認定の判断を回避している文部科学省の判断を迫る世論を盛り上げていこうと運動に拍車をかけている。

著名人500人対象に

 現在、「民族学校出身者の京都大学への受験資格を要求する連絡協議会(民受連)」が府内の大学教授400人を、総聯と女性同盟は100人の文化人、芸術家、工芸家、団体役員たちを対象に署名運動を展開している。

 「3万人署名運動」では、総聯各支部、朝鮮学校生徒と教員らが街頭宣伝を行い、府下朝鮮学校オモニ会も奮闘中で運動に拍車をかけている。28日は府下朝鮮学校の教員たち約50人が川端川条周辺で署名運動を、来月5日には京都第1、2、3初級学校のオモニ会が合同で街頭に立つ。集まった署名は7月中旬にも文科省、京都府知事、京都市長あてに提出される。

連帯の力で

 2月21日付朝日新聞の朝刊が、「国立大入学資格、朝鮮学校に認めず」と報じ差別が明らかになったあと、京都の同胞、日本市民らはすばやく対応し差別是正を訴え続けてきた。

 京都民族教育対策委は同日、同胞に送る緊急アピール文を作成し文科省に電話やファクスで抗議、決定の見直しを求めるよう訴えた。また、京都府下の朝鮮学校のオモニ会は2月26日、京都弁護士会人権擁護委員会あてに上申書を提出。京都の「民族学校を考える会」「日朝友好促進京都婦人会議」「都市問題研究所」など3市民団体は、連名で文科省の遠山敦子大臣あてに緊急アピールを行うなど、連帯抗議行動を強めていった。

 緊急集会も3月1日、15日と続けて開催し世論にアピール。15日の緊急集会は、京都大学の水野直樹教授、駒込武助教授らが呼びかけたものだ。集会の呼びかけ・賛同人には大学教授、文化人、医師、日朝友好団体など100を超える著名人と団体が名を連ねた。こうした同胞と日本の著名人との連帯した運動は京都の特徴と言える。今回の署名はこの連帯の輪をさらに広げようというもの。

 民族対策委員会の魚秀玉副委員長は、「実際にこの問題を知らない人たちが多いのも確か。著名人との連帯を深め、最後には必ず受験資格を勝ち取るつもりだ」と意気込む。

内外から批判を

 「引き続き検討中」と文科省の対応が鈍るなか、民受連の学生たちは京大が独自に資格を認めるよう学内の世論喚起に努めている。

 「大学内からの世論喚起が重要なポイントとなる」と話す民受連代表の李度潤さん(京大工学部3年)は5月15日、京都大学で留学同京都、韓学同、民受連の朝・日学生らとともに「総長がんばれマツリ」を行った。

 留学同京都大学支部は、94年12月に「民受連」を結成。同大の学生や教職員を対象にした署名運動や大学当局との団体交渉など、問題解決のための活動を幅広く展開してきた。95年にはスイス・ジュネーブで行われた国連人権委員会に代表を送り国際世論にもアピールした。地道な活動が実り、98年には京大大学院理学研究科が朝鮮大学校出身者の受験資格を認定。この判断は国立大学では初めてのことだったが、学部の門戸はいまだ開かれていない。

 当初から運動に関わってきた水野直樹・京都大学人文科学研究所教授は、「内と外から大学に対する批判がないと国立大学の教職員たちがこの問題に対して知る機会は少ない。ましてや文科省は『検討中』と判断を先延ばししている。7月中に結論を出すかどうかも難しいところだが、理解ある人たちに広げていかないとこの運動の意味がない。最後までできる限りの努力をして世論喚起に務めていくことが重要だ」と強調した。(金明c記者、おわり)

[朝鮮新報 2003.6.26]