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〈大学受験資格問題〉 各地の同胞と京阪神3知事の要望書提出関係者の声

 外国人学校卒業生の日本の国立大学入学資格(受験資格)問題と関連し、文部科学省は差別反対を訴える同胞や日本市民の世論の大きな反発を受け、3月28日に凍結した方針の決定を7月にも下す予定だという。この間、集会やデモ、署名運動が各地で一斉に行われたが、方針が下される日が近づくにつれ、運動はさらに拡大している。その一方で、池坊政務官が朝鮮学校を訪れ、京都、大阪、兵庫3府県の知事は外国人学校卒業生にも平等な権利を与えよと要望書を遠山敦子文科大臣あてに提出した。また北九州市議会、東京都新宿区議会では、受検資格が早期に与えられるべきとの意見書を採択し、遠山大臣あてに送付した。関係者らの声を紹介する。

東京での集会とデモ参加者ら

 18日、東京都港区の芝公園23号地で開かれた「全ての外国人学校に平等な権利を求める東京緊急集会」。参加した2400余の同胞学父母や生徒、学生らは、文科省の受験資格差別反対を訴えたほか、税制上の優遇措置(特定公益増進法人への追加)も講じるよう求めた。集会後、参加者らはイエローカードを意味する黄色い傘を差し、文科省正門前を通って日比谷公園までデモ行進を行った。

 崔林範さん(58)は、「大学受験資格を与えないのは明らかな差別。絶対に勝ち取らなければならない。今まで在日朝鮮人たちがこの日本で生きていくために、どれだけたたかってきたのかをもう一度日本政府に訴えたい気持ちでいっぱいだ」と怒りを露にしていた。

 「生徒たちにはなんの罪もないのに文科省はどこまで差別すれば気が済むのか。受験資格問題だけでなく、教育助成金の問題もそうだ」と語るのは金載盛さん(26)さん。「朝鮮学校は自分たちの手で守っていかなければならない」と強調していた。

 また子供2人が東京朝高を卒業後、大検を受験したという李玉姫さん(55)は、「朝鮮学校と日本学校の授業になんの差があるのか。アジア系べっ視感情がそのまま表れた文科省の措置に怒りを感じる」と述べ、朝鮮大学校経営学部4年の韓成吾さんは、「朝鮮学校の生徒たちの未来を踏みにじる文科省の態度は許すことができない。運動を大学でも盛り上げていきたい」と話していた。

各地の署名運動を展開する同胞たち

 「朝鮮学校を含む全ての外国人学校に平等な権利を求める署名にご協力を!」−21日にはJR千葉駅および浦和駅(埼玉)前などで街頭宣伝と署名運動が展開された。

 浦和駅前で署名運動を行った埼玉初中の学父母、金珠玉さん(39)は、「同胞らの心の拠り所であるウリハッキョは何がどうあっても守らなければならない。厳しい情勢の中でも支持してくれる人たちに感謝している。平等な権利を勝ち取るまで最後までたたかう」と述べていた。

 千葉駅前での署名運動に参加した姜由範さんは、「中学、高校生を中心に署名に協力してもらった。朝鮮学校の現状を知らない子がほとんどで、僕たちがもっとアピールしていかなければと感じた」。具和順さんは、「情勢が情勢だから、『朝鮮』というフレーズを見ただけで拒否感を表す人が多かった反面、政治と教育は違うということ、在日朝鮮人の子どもも日本の子どもと同じスタートラインに、という私たちの訴えに積極的に協力してくれる人も多かった。一つひとつ話せば理解してくれる人が多かったので、とてもうれしかった」と語っていた。

 署名に協力してくれた日本市民からは、「日本人として政府がこのような差別政策を行っていることに疑問を感じる。必ず是正されるべき。情勢が厳しくいろいろと大変だろうが、がんばって」などの激励の声が寄せられた。

 各地で署名運動を展開している各団体は、6月末から7月にかけて文科省を訪れ、「新たな差別」の撤回を訴える予定だ。

京阪神3知事の要望書関係者

 既報のように京都、大阪、兵庫3府県の知事は20日、外国人学校卒業生に対する日本の大学入学資格問題と関連し、同卒業生にも平等に与えるよう求める要望書を遠山文科大臣あてに提出した。この問題と関連し、都道府県単位の自治体が文科省に直接、要望を行うのは初めて。3府県の関係者が同日、文科省を訪れ、高等教育局大学課の清木孝悦課長に手渡した。

 要望後、大阪府生活文化部の山登敏男部長は、「大阪には多くの在日韓国、朝鮮人が住んでいるが、彼らは日本で住んでいくことを前提に民族教育を実施しており、それを踏まえ、共生社会を築いていくうえでも平等な権利を与えるべきだ」と語った。

 兵庫県産業労働部の江木耕一部長は、「震災後の兵庫では多文化、共生社会が実現しつつあり、文科省は国際化の流れの中で幅広く対応すべきだ」と語った。

 また京都府総務部の井野一成次長は、「相対的に国に要望していきたい」と述べた。

[朝鮮新報 2003.6.28]