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〈大学受験資格問題〉 文科省の「弾力化方針」発表で同胞、日本市民ら強い怒り

 6日に発表された文部科学省の「大学入学資格の弾力化方針」は、英米系インターナショナルスクール16校や韓国学校、中華学校には学校単位で入学資格を認め、朝鮮学校は「本国との教育課程との関係を確認するのは困難」との理由から資格の有無を各大学の個別審査にゆだねるというものだ。「朝鮮学校はずしだ」−「方針」は、「インターのみに限る」とした3月の決定を凍結に追い込み、これまで差別是正を訴えてきた同胞、国立大教員、弁護士ら関係者の間に新たな怒りをよんでいる。

各大学に「ばらつき」

 「方針」を受けた各国立大の対応はどうか。京都大学の尾池和夫副学長は「民族学校などの卒業生が入学資格をやっと認められる方向になったことは評価したい。遅かったとはいえ、実現のために努力してこられた多くの方々の熱意に敬意を表したい」とする一方で、「一部の学校が大学の判断にゆだねられたのは、不完全だ」と指摘する。

 7月、文科省に門戸開放を要望することを決定した同大には、来春の進学を希望する複数の朝鮮学校出身者が入学資格認定書交付申請を行っている。

 「せっかくの受験希望者に安心して受験勉強をしてもらうためにも、政令の改正などを待ってできるだけ早く判断できる体制を取りたい」(尾池副学長)

 一方、一橋大学の石弘光学長が、自身もメンバーである中央教育審議会大学分科会(6日)で「個別認定は困難」だという見解を表明したことに対し「民族学校の一橋大への受験資格を求める連絡協議会」の代表を務める鄭栄桓さん(一橋大大学院生)は、「方針の問題性を指摘すべき国立大学の学長が文科省よりも後退している。開いた口がふさがらない」と憤る。

 各大学に判断を「丸投げ」すれば対応に「ばらつき」が生じ、「個別審査」として引き続き大検を課す大学が出てくる可能性もあり、新たな差別を生み出しかねない。

 「朝鮮学校の生徒たちは朝鮮半島情勢が緊迫するたびに『北の学校だ』といってチマ・チョゴリを切られ、つばを吐きかけられ罵詈雑言を浴びせられるのに、いざ権利付与の段階となると『どの国の学校かわからない』と差別される。こんな理不尽は断じて許されない」(鄭さん)

焦点は朝鮮学校

 「外国人学校、民族学校の問題を考える弁護士有志の会」の張学錬弁護士は、「外国人学校のなかで国立大学への受験希望者は、実質的には日本に永住している朝鮮学校出身者がほとんど。焦点は朝鮮学校だった」と、「方針」の露骨な「朝鮮学校はずし」を指摘する。

 「『朝鮮人としての民族性、国民性を涵養する朝鮮人学校を認めない』」とする65年の事務次官通達が文科省の発想の原点にある」(張弁護士)

 学校として認められなければ、税制上の優遇措置や国、地方自治体からの助成金、看護師、栄養士などの専門学校への入学資格、朝鮮大学校が大卒資格として認められないことからくる司法試験の一次試験免除など付随する問題への解決にはつながらない。

 同会の師岡康子弁護士は、「専修学校の高等教育課程の認定に使っている条件(3年以上または総授業単位数など)を満たした外国人学校として、入学資格を認めるべきだ」と代案を提示する。

 文科省は発想の原点を改め、朝鮮学校卒業生にも学校単位で入学資格を付与すべきだ。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.8.12]