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朝鮮産の畳用コモ、突然の輸入禁止措置は不当−あり得ぬ「飼料転用の可能性」

 8月25日、朝鮮と在日同胞を結ぶ貨客船「万景峰92」号が約7カ月ぶりに新潟西港に入港した。その際の、国土交通省による異常とも言える船の安全性検査「ポート・ステート・コントロール(PSC)」によって出港が予定より7時間も遅れたことは記憶に新しい。この際、東海商事鰍ェ陸揚げし輸入した朝鮮産の畳用コモ1501本(重量38.4トン)が、農林水産省の不当な行政措置により輸入不許可となった。

今年も3回の実績

 8月27日付で農水省が行った行政処分の内容は、同製品が家畜伝染病予防法第36条で禁止されている「飼料用に転用される可能性が否定できない」ため、輸入禁止とし、製品を焼却または朝鮮に返送せよというものだ。

 しかし、東海商事では、「飼料用に転用しようとしてもしようのない製品であり、また今日まで輸入実績のある製品」だとして、農水省に行政処分を撤回するよう訴えている。

 今回輸入した畳用コモは、日本の畳業者に依頼されて製作されたもので、業者ではこれを畳の芯の補強材として2bごとに切断し使用している。朝鮮では、日本から輸出された「藤田式専用編み機」を使用して同製品を作っている。

 製品の規格は、畳製造業者の要望に従い、幅110センチメートル×長さ40メートル(京間の畳20畳分)、幅105センチメートル×長さ36メートル(江戸間の畳18畳分)の2種類の寸法になっている。

 また、幅105〜110センチメートルに対し54本の畳用化学糸でち密に硬く編みこんでいることから、糸をほどかない限り材料の稲ワラは決して抜け落ちることはない。

 販売先である畳製造業者も過去、畳材料として以外に使用したことはない。

 「このように、内容、規格等からしても、今回輸入した製品が畳用に製造され、他の用途とは一切かかわりないことは明らかだ」と同社の安商市社長は語る。

 「これまで実績があるから法に基づいて輸入したのに、突然このような行政措置が取られたことで当惑している。今後の商取引が危ぶまれる」と話す。

 同社ではこの製品を2001年10月から輸入しており、昨年は5回、今年も1、2、5月と3回の輸入実績がある。

経済制裁の一環

 飼料用として転用される可能性についても、東海商事では以下のように説明している。

 まず、この畳用コモの価格が飼料用の稲ワラに比べて2倍ほど高いこと。飼料として使うのは、価格などの面で商取引としては成り立たない。

 また、前述のように幅110センチメートルの中に54本の化学糸をびっしり編みこんであるものを飼料として使うには糸を切断する必要があるが、それには相当の手間とコストがかかる。そこまでして飼料用に転用する必要性があるのか。

 しかも、手近に安価な中国産稲ワラ飼料が豊富に入手できるのに、畳用コモを飼料用に転用することなどあり得ない。

 万一、製品そのものを家畜が食した場合でも、54本の化学製品を噛み砕くのは困難であろうし、消化できずに家畜の生命を危うくすることになる。

 以上のことから見ても、農水省が行政処分で指摘した家畜伝染病予防法第36条の輸入禁止品に該当するものではなく、「飼料用以外の用途に供するために加工した製品」に該当する製品であることは明らかだ。

 「にもかかわらず農水省が何の事前了解、通知もなく、しかも法に基づいて輸入された後に、突然輸入禁止処分にしたことは、正常な行政行為とは言えず、政治的、意図的なものを感じざるを得ない」として、東海商事では農水省に直接出向くなどして、処分の撤回を引き続き求めている。

 とくに、この問題が「朝・日貿易を規制、制限するものであり、本質において対朝鮮敵視政策からくる経済制裁の一環とみなさざるを得ない」ことから、同社では問題を放置できないとしている。

 「今回、『万景峰92』号で輸入されマスコミで大きく騒がれたことも関係しているのではないか。日本の一部マスコミは畳用コモであるにもかかわらず、稲ワラと報道し、誤った印象を与えている」と、安社長は怒りをあらわにした。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2003.9.12]