国交のない朝鮮と日本間の実質的な在外公館的役割を担ってきた総連中央本部会館（東京都千代田区）に対し、東京都が固定資産税等の課税処分を不当に行っている問題で、総連中央の呉亨鎮副議長は９月３０日、同会館で記者会見し、課税分のうち、１、２期分の固定資産税等を東京千代田都税事務所に納める措置を取ったことを明らかにした。呉副議長は、「今回の納付は課税処分の正当性を決して認めるものではない」と強調。同席した北野弘久日本大学法学部名誉教授（法学博士）も「『納税しろ』などという脅迫電話や嫌がらせが相次ぎ、在日コリアンを取り巻く状況が厳しいため、都が銀行税を課した際に銀行側が取った対応と同様、納税した上で腰をすえて法的に争うことにした」と述べた。同日発表された談話全文はつぎのとおり。

　私たちは今日（９月３０日）、東京都による課税処分の違法性を今後とも明らかにしていく立場から、課税処分には同意しないものの、留保条件付で１期、２期分の固定資産税等を千代田都税事務所に納付する措置を取りました。

　周知のように、私たちは東京都による朝鮮総連中央本部会館に対する固定資産税等の課税処分を不服とし、減免申請と審査請求を行いました。

　しかし、東京都は何ら誠実な対応もないまま、異例の速さで差し押さえ処分をとったばかりか、合理的な説明もないまま審査請求の棄却を求める弁明書を送ってきました。

　東京都による突然の不当な課税処分からこんにちにいたる異常な経過と石原都知事の一連の発言に照らしてみるとき、都の強硬な対応には、あからさまな差別と不純な政治的意図があるとの疑念を強くせざるを得ません。

　今回の留保付きの納付は、課税処分の正当性を決して認めるものではありません。

　私たちが再三主張しているように、美濃部都政、鈴木都政、青島都政、そして石原都政第１期の約４０年間にわたって、実質的な在外公館として課税を免除されてきた朝鮮総連中央本部会館の役割と活動はこんにち、いつにも増して重要になっております。

　また、免税の法的根拠となった都税条例第１３４条第１項の規定も変更されておらず、今回の突然の課税処分が法の一般原理である信義則にも違反し、無効であることにはまったく疑問の余地がありません。

　私たちは不当かつ差別的な今回の課税処分が撤回されるまで、法的手続きにのっとって、あくまで争っていく所存です。

［朝鮮新報 2003.10.4］