top_rogo.gif (16396 bytes)

北南対話、協力、交流の展望−祖国平和統一委書記局チョ・チュンハン副局長に聞く

 核問題をめぐる朝米間の緊張が高まるなか、21日からソウルで今年初めての北南対話となる閣僚級会談(第9回)が開かれる。現情勢にそくし北南間の対話と協力、交流をどのように進めようとしているのか、祖国平和統一委員会書記局のチョ・チュンハン副局長にインタビューした。(平壌、金志永記者)

 ―核問題で朝米間の緊張が高まり、北南間の協力、交流に対する米国の干渉が露骨化しているが、現情勢をどのように捉えているのか。

 現情勢を認識するうえで重要なのは、「北南の朝鮮民族対米国」という対決の構図が朝鮮半島で形成されているという観点だ。新年の共同社説でも指摘されたが、この構図は米国との緊張関係のなかでわれわれが主観的に主張しているものではない。

 現実を見れば理解できる。北南間には和解と団結への動きが具体化している。6.15共同宣言が発表され2年半が過ぎた。現状を見れば、北も南も互いを反対し平和を破壊しようという意思を持っていないことは明らかだ。一般民衆の意思がそうであるし、政府も共同宣言履行のために努力している。北南間には制度上の違いがあるが、民族的な見地から見ると北南間の矛盾は大きく減少した。

 しかし、米国との関係では、北も南も矛盾が表面化している。米国による支配政策は南の民衆にも多大な被害と苦痛をもたらした。昨年の反米ろうそくデモは、半世紀に渡り積もり積もった民衆の恨みが噴出したものだと言えよう。

 朝米間の矛盾は説明する必要もない。米国は「核開発」問題を持ち出しているが、これは朝鮮を圧殺することを目的としたものだ。

 米国により被害を受けてきた北南が民族同士、共助し団結することは当然のことである。

 ―しかし、一方では核問題で米国と日本、南朝鮮の協力体制が強調されている現実があるが。

 米、日、南朝鮮が政策のすり合わせなどを理由に話し合いを進めているのは事実だ。

 しかし、北と南の民衆の志向性は同じだ。歴史は民衆が作るものだ。われわれはこの基本に立って「北南の朝鮮民族対米国」という対決の構図を論じている。この対決の構図は民族全体の死活という見地から必然的に形成されたものだ。

 このことは3段論法で説明することができる。米国は対決政策を強めながらわれわれを攻撃しようとしている。朝鮮にミサイルが1発でも落とされたら戦争になる。朝鮮半島で戦争が起これば北も南も大きな被害を受ける。

 だからこそ北と南が共助し米国の戦争策動を止めさせなければならない。現在、南の民衆の間でも米国の対北対決策動に反対する世論が高まっており、北の民衆も米国との戦いを覚悟している。わが民族と米国との対決の構図は民衆の志向を反映したものだ。

 ―しかし、戦争の危機が迫っているのなら、戦争を回避するための方策を探さなければいけないのでは。

 北と南が6.15共同宣言の基本精神である「わが民族同士」という理念を実現させなければならない。これこそが現情勢にそくした民族の生存方式だ。

 この2年半に北南間で起こった変化を見れば、「わが民族同士」という理念の正当性がよくわかる。この理念がなければ、北南の多くの人々が互いに往来し合い同じ血のつながりを確認しあうという劇的な出来事もなかったはずである。

 今後もこの理念にそって北南間の対話と協力、交流を進めていくつもりだ。北南間の鉄道、道路連結事業に対する妨害を見てもわかるように、米国はわが民族の統一に干渉し障害をもたらしている。今後さらに露骨になってくるだろう。北と南は絶対にこれを許してはならない。

 「わが民族同士」の理念を具現し北と南が統一問題を論じて一つになった姿を示す、これが米国の干渉を排除し朝鮮半島での戦争を阻止する有効な手段だ。

 ―南朝鮮では核問題をめぐる朝米の対決状態をを解決するためのいわゆる「仲裁案」というものも論じられているが。

 われわれが米国との直接対話を主張しているのは、両国が核問題の当事者だからだ。核問題は、われわれが米国とひざを突き合わせて解決しなければならない問題であり、南朝鮮が解決できる問題ではない。しかし、北南間で提起される問題は、民族内部の問題であるから、閣僚級会談などで論議し解決することができる。ここで強調されるべき点は、自主的立場を堅持しなければならないということだ。現情勢下で、米国がやれと言えばやり、やめろと言えばやめるといった態度では、問題はますます複雑になるだけだ。北と南は、米国の圧力を排撃する対話、戦争を防止する対話をしなければならない。統一を志向する民族の対話が問題解決に利するものとなることはあっても、絶対に否定的な結果をもたらすことはない。

 ―南朝鮮がそのような立場を堅持すると判断しているのか。

 米国の圧力は簡単になくならないが、時代は確実に変わっている。南当局は米国と対話をするが、それは北と対決するための対話ではない。民衆が反対するのに、米国が北と戦争すると言ったからといって、「そうですか」と応じるわけがない。

 いま南の民衆は、自主を求めている。民衆の志向に合った政治をしなければならない。われわれは、南当局がそうするだろうと信じている。南当局が民族自主の立場から問題を提起するなら、北は積極的に応じていくだろう。

 ―今後の展望をどのように見ているのか。

 われわれは世界で唯一の超大国と言われている米国を相手にしている。この状況を考えるとけっして平坦な道を歩んでいるわけではないと言える。だからといって恐れているわけではない。

 現在の難関は、民族の自主と統一を実現する道で通らなければならない紆余曲折である。北と南の共助の可能性、それを支える民衆の志向、これらは一朝一夕にできたものではない。われわれはどのような困難も民族の共同歩調で乗り越えていかなければならない。

[朝鮮新報 2003.1.20]