林東源南朝鮮大統領特使一行の平壌訪問−核問題、朝米でのみ解決 |
北の原則的立場伝える 【平壌発=金志永記者】金大中大統領の特使、林東源・青瓦台外交安保統一特別補佐役の平壌訪問(1月27〜29日)は、朝鮮半島情勢が深刻な危機局面を迎えつつある中で実現した。 合意発表の憶測も
南側は今回の特使派遣に大きな期待を寄せた。一行の中には、核問題と関連して大統領特使として米国に派遣された任晟準・青瓦台外交安保首席、盧武鉉次期大統領の特使である李鍾奭・政権引継委委員も含まれていた。 北側も南側特使の平壌訪問に大きな意義を付与していた。現場では、林特使が昨年4月に平壌を訪れた時のように、双方の合意を共同報道文形式で発表できるのではないかとの観測も出ていた。 朝鮮半島の核問題は、その発生経緯から見て朝米間の直接対話を通じてのみ解決可能だという北側の原則的立場に変わりはない。見過ごしてはならないのは、北側が「前提条件のない対話」を主張していることだ。北側は最初から、「対話のための譲歩」は選択権に入れていない。 北側は「濃縮ウラニウムによる核兵器製造」を否定している。「先核放棄」の要求と関連したいかなる譲歩も、「ないものをあるとする」米国の論理を認めることになり、到底受け入れられるものではない。北側は、南側特使に先立ち平壌を訪れたロシア大統領特使にもこうした立場を伝えた。 「仲裁案」に意味なし 南側特使の平壌訪問と時を同じくして、パウエル米国務長官は世界経済フォーラムで演説し、朝鮮の「先核放棄」を繰り返し要求した。米国は対話の意思を示しているにもかかわらず、朝鮮側が動こうとしないということで、「核危機」の責任を朝鮮側になすりつけようとしたといえる。 朝米対話が実現しないのは、一方が嘘をついているからだ。真相を見分けられない「仲裁案」は意味がない。金容淳党書記は林特使との会談で、現事態を解決するための方途について言及した。米国は前提条件をつけない対話に応じなければならず、そのために南側が役割を果たさなければならないということだ。 南側特使に会った北側の高位級人士らは、「朝鮮半島の平和を実現するうえで基本はわが民族が主人になること」だと強調しながら、南で政権が交代しても6.15共同宣言を引き続き固守していかなければならないとの立場を明確にした。同族への信頼と期待を最大限示したものと言える。 北南間の対話と協力、交流事業をより活性化させ民族が1つになった姿を内外に誇示することこそ、朝鮮半島の緊張激化を阻止する現実的な道だ。 南側特使は金大統領の親書を携えて平壌を訪れた。これに北側は真摯に対応した。南側の政権交代時に実現した「平壌会談」は6.15共同宣言が示した「わが民族同士」の理念を、過去2年半より大胆かつ徹底的に具現すべき必要性をはっきりと示した。 総書記からのメッセージ 29日に戻った林東源特使は同日、記者会見に応じ、2泊3日の訪北について語った。 それによると、林特使は金大中大統領の親書を、金容淳書記を通じて金正日総書記に伝達した。訪北期間、金永南・最高人民会議常任委委員長、金書記ら北側の高位人士と懸案問題について真摯に協議した。 北側は、総書記が地方訪問中のため会えなかったことを了解してほしいとしながら、総書記の口頭メッセージを伝えてきた。総書記は、「特使を派遣して温かい助言のこもった親書を送ってくれたことに謝意を表する」と伝えてほしいとしながら、「金大統領の助言については具体的に検討し後で知らせる」と述べた、と林特使は語っている。 南側は、北の核問題を平和的に解決すべきだという点で国際社会の支持が高まっていると指摘し、最近の米国の立場について詳細に説明した。 北側は南側の説明を真摯に聞きながらも、核問題は直接対話と協商を通じて朝米間で解決すべき問題だという基本的立場を繰り返したという。また、核兵器を開発せず、開発する意思もないという立場も強調していた。 一方、盧武鉉次期大統領の特使、李鍾奭・政権引継委外交統一安保委員は、盧次期大統領が総書記に送るあいさつを伝えた。内容は対北政策公約の概要、核問題の早期解決の必要性だという。 [朝鮮新報 2003.2.3] |