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朝鮮中央通信詳報〈3〉−NPT脱退までの経緯

 われわれが、米国のねつ造した「情報資料」に基づいたIAEAの不当な査察をそのまま受け入れるのはとりもなおさず、われわれの交戦一方である米国のスパイ行為を合法化することであったし、国が分裂しており、それに米国の恒久的な核脅威にさらされているわれわれの特殊な状況下で、軍事基地を敵に開放するというのは、とうてい想像すらできないことであった。

 これは、わが共和国の自主権に対する乱暴な侵害であり、われわれを武装解除させ、われわれの社会主義制度を圧殺しようとするものであって、わが国の最高利益を脅かす非常に深刻な軍事的、政治的問題となった。

 米国とその追従勢力によって人為的にねつ造された「決議」は、反共和国圧殺策動の一環として、国際法上の見地からみても、科学的、技術的見地からみても正当化されないものであった。

 米国は、IAEAの不当な「決議」が採択されたのと時を同じくして、すでに中止していた「チームスピリット」合同軍事演習を再開し、またしてもわれわれの自主権と生存権を重大に脅かした。

 結局、1980年代中葉からNPTに加盟し、保障措置協定を締結することによって国の電力問題を解決するための原子力エネルギー工業を発展させ、朝鮮半島に対する核脅威を除去しようとしたわれわれの努力は米国によってそのつど挫折した。

 1990年代にわれわれが経済的難関に直面するようになったのも、もとを正せばこれに起因しており、われわれは、米国が対朝鮮敵視政策を放棄するまでは朝鮮半島の平和と安全問題はもとより、わが国の経済発展も制約を受けるということを確信した。

 当時、われわれの要求によって朝米間に「核問題」をめぐる会談も行われたが、長期にわたって存在してきた両国間の敵対関係と不信によって、会談は物別れに終わった。

 われわれは国際的に核兵器の拡散を防ぎ、平和的な原子力エネルギーの利用を保証する神聖な目的と使命を帯びているNPTとIAEAがわれわれとの関係において、われわれの制度をなきものにしようとする米国の不純な政治目的の実現に盗用されていることに最大の警戒心をもたざるを得なかった。

 われわれはそうした事態に対処して、国の自主権と安全を守るため準戦時態勢に入り、自己の最高利益を守るため1993年3月12日、NPTから脱退する措置を取ることになった。

 NPT第10条には、各条約加盟国は自国の最高利益が脅威にさらされる特殊な事態が生じた場合、この条約から脱退することができると明白に規定されており、従って、この措置は誰も否定できないわれわれの合法的権利の行使であった。

 われわれは1994年6月10日、IAEA理事会で「核問題」にかこつけて軍事対象に対する開放を求め、われわれに対する「IAEAの協力を中断」するという「決議」が採択されたことで6月13日、IAEAから脱退する措置を取った。

 この時からわれわれと関連するIAEAのすべての不当な「決議」は効力を失うことになり、われわれはIAEAのいかなる規定や決定にも拘束されなくなった。

われわれの特殊地位

 われわれのNPT脱退声明が発表されるなり、世界は米国の専横によって朝鮮半島が一触即発の危険な情勢に直面したことに深刻な懸念を表し、朝鮮半島の核問題を平和的に対話と交渉の方法で解決することを求めた。

 朝鮮半島で戦争ぼっ発の危険を防ぎ、地域の平和と安定を保障しようとするわが共和国の真しな努力と世界の平和愛好人民の強力な要求によって、米国は朝鮮半島の核問題を平和的に解決するための交渉の場に臨まざるを得なかった。

 数回にわたる朝米交渉を通じて1993年6月11日、朝米共同声明が採択された。

 共同声明で米国は、われわれに核兵器を含む武力行使をしないばかりか、脅威も与えず、われわれの自主権を尊重し、内政に干渉しないことを公約し、われわれはNPTからの脱退効力を必要と認める限り、一時停止させることにした。

 このようにしてわれわれは、NPTとの関係において特殊な地位に置かれるようになった。

 保障措置協定について言えば、それはNPT第3条第4項によって結ばれたものであるので、それはわれわれとIAEAとの間に特別な合意がなされない以上、条約脱退と共に1993年6月12日から事実上、法律的には効力が停止された状態にあるのと同じであった。

 従ってわれわれは、保障措置協定による全面査察ではなく、査察の継続性保障のための査察だけを受ければ済むことになっていた。

 米国とIAEA事務局も、われわれのこうした特殊地位を認めた。

 1993年12月10日、米国務省東アジア・太平洋担当のトーマス・ハバード次官補代理は、「米国は、NPT脱退効力を一時停止したことによる朝鮮側の特殊な地位に対して理解を表する」とした。

 IAEAのハンス・ブリクス事務局長は1994年3月24日、国連安全保障理事会にわが国に対するIAEAの3月の査察結果を報告し、「朝鮮民主主義人民共和国は特殊な状況にあるので査察の継続性を保障する必要性しかない、そうした意味から1993年5月と8月に監視機材のビデオテープとバッテリーの交替のためのIAEAの査察を受け入れた」と指摘した。

 これは、査察の継続性保障に向けた査察が保障措置協定上の通常・特定査察ではなく、同協定による査察が凍結された1993年2月以来、われわれの核物質が流用されていないことだけを確認するための査察の継続性保障査察であることを認めたものである。

[朝鮮新報 2003.2.3]