発足する盧武鉉新政権〈下〉−交流、和解、さらに活発化 |
ベースは平和政策 盧武鉉氏の統一分野に関する公約は、金大中政権の政策に類似した平和政策をベースにしている。盧氏は対北政策に関して「対話を通じた平和的解決」の原則を強調しながら、平和定着のための相互訪問を通じた北南首脳者会談の定例化を約束した。 盧氏はまた、この首脳会談を通じて朝鮮半島の平和論議で北南が当事者になり、北南不可侵、朝鮮半島での平和体制樹立のための平和宣言を成就させるという公約も掲げている。彼の公約には、北南間の緊張緩和と信頼構築のためにホットラインを設置し、軍の交流や軍事訓練を前もって通知するなど、金大中政権の政策基調を受け継いだ部分も多い。 一方、金剛山と開城工業地区、京義線と東海線連結区間の経済共同区域化、1000社以上の企業の北側への入居推進など、経済共同体実現のための方案も提示した。 対米関係に関しては、昨年12月3日に行われたテレビ討論会で、「SOFA(韓米地位協定)については沈黙しない。クリストファー(元米国務長官)が来た時にも謝罪を要求したし、民主党の議員は裁判権の移譲を求めた。SOFAと韓米関係で問題は、われわれの外交が米国に一方的に追従し無批判外交を展開したためだ」と述べ、南の自主権を強調した。 昨年12月20日に行われた当選後初の記者会見で彼は、「北の核問題によって醸成された韓半島の緊張を解消するために全力を尽くす。また問題の平和的解決のため、われわれの主動的な役割を強めていく。SOFA改定など韓米間の懸案についても、国民の切実な期待と私の立場を韓米の両政府に伝える」と述べた。 昨年12月30日から公式的に活動を始めた「大統領職引き継ぎ委員会」は、盧武鉉次期大統領の政策をもとに1月7日、朝鮮半島での平和体制構築、北東アジア経済の中心国家として建設、政治改革の実現などを盛り込んだ「新政府10大国政課題」を確定した。 朝鮮半島での平和体制構築については、北の核問題解決と軍事的信頼関係の構築、多角的な対話ルートの創設、相互協力外交と北東アジア平和協力体の構築など4つの具体的課題を提示した。北南間の緊張緩和および解消のための軍事的信頼関係の構築をひとつにまとめたのは、盧氏の持論である核問題一括妥結論に沿ったもの。また多角的な対話ルートの創設は、核問題を平和裏に解決するためにも、対北「包容」政策の基調を維持するとの立場を再確認したものと解釈することができる。 政策支えるブレーン 平和をベースにした対北政策を掲げる盧武鉉新政権を支えるのは、金元基政治顧問を中心とする政治的同志グループと、鄭大哲選挙対策委員長を中心とする選対委グループだ。 選挙期間、各分野で盧氏を支えたのは、金氏と鄭氏を含む10人の核心で、選挙対策本部長を務めた千正培議員、釜山市選挙対策本部長の文在寅弁護士、申渓輪秘書室長と柳在乾外交特別補佐、林采正政策選挙特別本部長(引き継ぎ委員会委員長)と丁世均政策企画委員長、李海瓉議員と廉東淵政務特別補佐らが各分野で手腕を振るった。 分野別に見てみると、政治改革を含む政治全般をリードしていくのは、前述した政治的同志グループと選対委のメンバーのほかに、この2つのグループに属さない趙舜衡、鄭東泳、辛基南、千正培議員など党の解体を主張した改革派議員たちも、政治面で中心的役割を果たすと見込まれている。 とりわけ鄭東泳氏は、盧氏が投票前日にソウルで行った遊説で次期リーダーと紹介されるほどの信任を得ている。党外ではあるが、改革国民党の金元雄議員や柳時敏代表も盧氏の政治改革を補佐することが予測される。 経済分野のブレーンは、大きく分けて「家庭教師」の役割を果たしてきた現実参与型の学者グループ(柳鍾一韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院教授、張夏元KDI研究委員など)、政策の理論土台を支援した進歩的な学者グループ(李東傑韓国金融研究院研究委員、朴刹ィKDI研究委員など)、そして国会議員グループ(丁世均、金孝錫、康奉均議員など)で構成されている。文化系のブレーンは金漢吉氏を筆頭に、尹棊企画局長、リ・グンヒョン戦略企画局長などのほか、盧氏の応援演説に釜山のチャガルチ市場のアジュモニ(おばさん)を登場させ大反響を呼んだチョ・グァンハン氏などがいる。また、「盧武鉉を愛する人々の会」の中心的存在である俳優の明桂南、文盛瑾氏らも忘れてはならない。 新政権の最重要課題ともいえる統一、外交、安保政策面でのブレーンは、尹永寛ソウル大学外交学科教授を中心に、徐東晩尚志大学国際政治学教授や李鐘奭世宗研究所研究委員(林東源・金大中大統領特使とともに、盧氏の特使として1月27日から平壌を訪問)、文正仁延世大学政治外交学科教授らで構成されている。また、党内からも柳在乾議員と趙淳昇前議員らがこの分野のブレーンとして盧武鉉氏を支えている。 現在、米国は北の「核問題」をうんぬんしながら、統一へ向かう時代の流れを止めようと躍起になっている。しかし、南の市民は現政権の統一政策を継承すると約束した盧武鉉氏を次期大統領に選んだことで、6.15共同宣言の精神に沿った北南の交流、和解はさらに進むだろう。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2003.2.24] |