陸路で結ばれた北南の血肉−第6回北南離散家族、親せき対面 |
【高城発=文光善、金志永記者】第6回北南離散家族、親せきの対面が、20〜25日にかけて金剛山で行われた。今回の対面は東海線臨時道路を利用して初めて行われ、民族和解、団合の気運を世界に見せつけるものとなった。 高齢のオモニにビデオレター 北で有名な喜劇俳優のリ・ウンテクさん(73)は、南から来た2人の姉と弟、従兄弟たちと再会した。 弟のウンハクさん(59)の「兄さん、久しぶりに会えたのにすぐ別れたら、もっと寂しくなるじゃないですか」という言葉に、ウンテクさんは「それは米国のせいだ。これからは民族同士が手を結ばなければ」と答えた。 高齢のため金剛山に来られなかった96歳のオモニにビデオレターを作ろうとウンハクさんが言うと、ウンテクさんは「オモニ。私はかならずオモニのところに行きます。統一のその日までどうかお体を大事にしてください」とオモニへのメッセージを述べた。 その姿を涙ながらに見つめていたウンハクさんは、「統一のその日は遠くないでしょう」と語った。 兄の立派な姿に感慨ひとしお 「別れた時、私はまだ幼くてよく覚えていないんですが、亡くなった両親がよく話してくれたんです。兄はとても頭がよくて、生きていたらきっと立派な人間になっているだろうって…」 キム・ドンハンさん(57、仁川市在住)は、北で暮らす兄キム・ドンインさん(70)が教授、博士になっていると聞き、声を詰まらせた。ドンインさんは朝鮮戦争勃発と同時に朝鮮人民軍に入隊。ソウルに家族を残し北に渡った。その後、金日成総合大学地理学部講座長、学部長を歴任するなど北の海岸地理分野の開拓者として名声を得た。 「同族同士で争うようなことは2度とないようにしなければ」という弟の言葉に兄は、「外勢は戦争を起こそうと躍起になっているが、北と南の間では雪解けが始まり私たちもこうして再会できた」と微笑んだ。 「今度は開城で再会を」
半世紀ぶりに娘との再会を果たしたオ・メウォルさん(96、大田市在住)は、気を失ってしまった。 「オモニ!」 娘のソン・スンヨンさん(72、開城市在住)はオモニを抱きかかえながら叫んだ。 家族の生計を立てるため、単身ソウルで布織り工として働いていたスンヨンさんは、戦争をきっかけに義勇軍に入隊し北に渡った。メウォルさんは、苦労した娘にねぎらいの言葉一つかけられなかったことが心残りで、娘に再会することだけを夢見て暮らしてきた。 メウォルさんと一緒に来た子どもたちは、「オモニと姉さんにとってこれが最後の出会いになるかもしれない。それなのに、どうやって金剛山を去ることができるだろうか」と胸のうちを明かした。 しかし、「南で暮らす私たちが陸路で北に来ることができた。金剛山には離散家族の面会所が作られるというし、姉さんの暮らす開城市にも工業団地や観光地ができるから」と、希望に胸を膨らませながら、今度はスンヨンさんが暮らす開城市で会おうと約束していた。 [朝鮮新報 2003.2.28] |