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イラク戦争に対する朝鮮の視点

 イラク戦争に対し、朝鮮政府は大きな関心を持って注視している。外務省スポークスマンは、米国の武力行使を「主権侵害」だとして厳しく非難。主要メディアも連日のように外信を引用しながら戦況を詳しく報道している。

国家テロ行為

イラクに侵攻した米軍 [写真=聯合ニュース]

 朝鮮外務省スポークスマンは3月21日、朝鮮中央通信社記者の質問に答える形で米国のイラク攻撃を非難した。

 スポークスマンはまず、「米国の武力攻撃は重大な主権侵害行為である」と指摘。イラクに対する主権侵害は査察による武装解除要求からすでに始まり、系統的に戦争へとつながったと述べながら、主権国家に対して一方的に武装解除を要求すること自体が国家主権に対する侵害だと非難した。

 また、「軍事攻撃による主権侵害はその国の人民に対する人権侵害の至高の表現」であり、「かつてしきりに『人権擁護』を唱えていた国々が、今回の武力攻撃に直接加わったりそれを黙認している」と強調した。

 スポークスマンは、朝鮮政府は戦争に反対である立場を表明しながら、「イラクに対する米国の強権行為と現在、朝鮮半島で米国とその追従勢力が繰り広げている戦争準備行為は、われわれをして正当防衛のためできることはすべてしつつ、さらに何をすべきかをはっきり認識させている」と指摘した。

 一方3月31日には、米国がイラク戦争の最終目的を「指導部除去」にあると公言していることについて朝鮮中央通信社の記者の質問に答え、「誰も米国に他国の政権交替権限を与えておらず、米国のこのような白昼強盗さながらの国家テロ行為を許す主権国家はこの世にない」と厳しく非難した。

 スポークスマンは、米国がイラクへの軍事攻撃を同国の大統領を殺害するための奇襲打撃から始め、今もその実行のため手段と方法を選ばないでいると指摘。他国の国家指導者殺害を国家政策として策定した米国のごう慢で横暴な行為こそ、絶対に許されない国家テロの典型であると強調した。

「変わらない本性」

渡河訓練を行う米軍と南朝鮮軍 [写真=聯合ニュース]

 朝鮮中央通信は1日の論評で、「国連を無視したこの戦争は、何の名分もない強盗さながらの侵略戦争である」と指摘、世界制覇を目論む米国のごう慢さを明白に示すものだと非難した。

 論評は、これまでも米国はドミニカ(1965年)、グレナダ(1983年)、パナマ(1989年)などの諸国を武力で侵攻したことに触れながら、他国、他民族を力で押さえつけようとする米国の侵略的で略奪的本性は変わらないと指摘した。

 また、米国は朝鮮の「核開発計画」という虚構をねつ造し、対朝鮮圧力攻勢を国際化しようとしていると強調したうえで、一触即発の危険をはらんだ朝鮮半島の核危機事態に対し、朝鮮は万端の準備を整えていると述べた。

 また、労働新聞や民主朝鮮は、イラク戦争を機に米国と南朝鮮軍が合同軍事演習(フォール・イーグルなど)を実施しながら、米国が朝鮮の「人権、宗教問題」などをうんぬんしていることに対し、第2の朝鮮戦争を起こしかねない危険な情勢を作り出していると非難を強めている。

 労働新聞2日付は、国際社会の一部の勢力がイラク戦争を機に朝鮮半島の核問題に関連して、「米国の次の攻撃目標は北朝鮮になる」「査察を受け入れよ」などと対朝鮮圧力攻勢に出ていることと関連し、こうした言動は米国にムチを与えるのと同じだと非難した。

 一方、朴官五・金日成総合大学総長は3月27日、記者の質問に対し「イラク戦争は、自国の利益のためなら主権国家に対する侵略戦争も辞さない米帝の不法性と好戦性を赤裸々に示しており、米国に立ち向かって自主的に進んでいる国々にとっては他人事ではなく、決して傍観できないという深刻な教訓を与えている」と指摘した。

[朝鮮新報 2003.4.7]