top_rogo.gif (16396 bytes)

イラクの次」を想定、北侵作戦−フォールイーグル、連合戦時増員米南合同軍事演習

 米軍と南朝鮮軍は、去る3月4日から4月2日にかけて軍事境界線一帯をはじめとする南朝鮮地域で、大規模合同軍事演習であるフォールイーグルと連合戦時増員演習を大々的に行った。演習には駐留米軍と南朝鮮軍、そして空母カールビンソンや米本土などから派遣された航空機、5000余人に上る兵力が動員された。米軍当局は「防御」「定例」訓練だと説明しているが、「その期間と規模、性格から明白に分かるように、朝鮮を力で制圧し、北侵野望を実現するための無謀な侵略戦争演習」(民主朝鮮4日付)であった。

ほど遠い「防御」

連合戦時増員演習に参加するために仁川港に入港する米イージス艦 [写真=聯合ニュース]

 約1カ月にわたった演習では、北侵を念頭においた渡河訓練、元山などを仮想した海上からの上陸訓練などが行われた。

 同時に、F117ステルス戦闘爆撃機を出動させ、E3指揮機の支援のもとに地上目標を爆撃破壊する打撃訓練、ステルス機とF16戦闘爆撃機による地形習熟、前線まで侵攻した海兵隊などの地上部隊を支援する空軍演習も強行した。

 さらに見逃してならないのは、米中央情報局(CIA)特殊作戦チームによる、寧辺(平安南道)を想定した原子力施設破壊の秘密訓練まで行ったことだ。

 こうした合同演習とは別に1日、南朝鮮陸軍が単独で、最先端情報レーダー通信システムを使って野外戦術移動、電撃攻勢渡河演習を行った。

 イラク攻撃と時期を合わせるかのように行われた今演習の内容を、実際の米英軍によるイラク攻撃の内容と重ね合わせて見た場合、米軍側のいうように「防御」「定例」演習だとはとても片付けられない。

ステルスなどを駐留

演習に投入されたF117ステルスなどの戦闘機 [写真=聯合ニュース]

 一方、南朝鮮駐留米軍司令部は1日、合同軍事演習後にも動員された一部兵力を引き続き南朝鮮に駐留させ補完訓練を実施すると発表した。

 また、F117ステルス6機とF15E戦闘機1個大隊をそのまま継続駐留させることも明らかにした。

 F117ステルスといえば、レーダー網をかいくぐり攻撃が出来るよう特殊装置などを施して製作されたもので、イラク戦争開戦の日(3月20日)、フセイン大統領殺害を狙った爆撃に動員された戦闘爆撃機である。

 このことに象徴されるように、「イラクの次は朝鮮」を意識した措置だと言わざるをえない。今演習を朝鮮側が「北侵のための戦争演習」だと、厳しく非難している理由である。

米国人の「疎開訓練」

 ブッシュ政権は現在、朝鮮の「核兵器開発」阻止を口実に軍事的圧力を強めている。

 これに対して朝鮮は、「核兵器を製造する意思はなく、現段階においてわれわれの核活動は、唯一、電力生産をはじめ平和的目的に限られる」(1月10日のNPT脱退政府声明)との立場を再三明らかにしている。

 しかし米国は、こうした朝鮮側の主張にいっさい耳を貸さず、「朝鮮が核再処理施設を稼動させた場合、最終的な挑発行為と見なす」(ベイカー駐日米大使)と、軍事攻撃を示唆する発言を繰り返している。

 さらに今回の演習では、密かに南朝鮮に滞在する米国民を他国に移動させる「疎開訓練」まで行っている。この訓練は94年の春、当時のクリントン政権が限定空爆などを立案・策定し実行寸前にまで傾いた当時、日本などで行っていたことが明らかになっている。

 ブッシュ政権の本音を垣間見せる事実だと言える。

 こういう状況の中で朝鮮は、「自衛のために全力を尽くす」(労働新聞6日付)意思を表明する一方で、「わが民族同士」「民族共助」を強調しながら「全民族が団結して反米、反戦闘争を果敢に展開しよう」(最高人民会議・楊亨燮常任委副委員長、5日の平壌市報告大会)とアピールしている。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2003.4.12]