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〈月間平壌レポート〉 平穏、華やか、祝賀一色

目につく外国人客

「4月の春親善芸術祭典」の授賞式に参加する各国の芸能人 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 イラク戦争も終盤にさしかかった10日夜、平壌に赴任した。この日はちょうど「第21回4月の春親善芸術祭典」の開幕日。平壌・順安空港からホテルまでの道のりにはこうこうとネオンが光り、街路樹もライトアップされていた。アパートの電灯とも相まった夜景の美しさに圧倒された。

 金日成主席の生誕日である「太陽節」に際して、毎年この時期に開かれる「4月の春の祭典」も今年ではや21回目。この時期に平壌を訪れるのは初めてで、当然「祭典」を取材するのも初めてだったが、街は祝賀ムード一色に包まれていた。40カ国、700余人の外国人、海外同胞芸術家が、10日から18日までの9日間にわたってそれぞれの持ち歌、踊り、演奏、マジック、サーカスなどを披露した。

 その中には、世界的に有名な英国のソプラノ歌手、スザンナ・クラークさんも含まれていた。現地の人によると、英国人歌手が「祭典」に参加するのは初めてという。近年、EU諸国との関係を深めている朝鮮。英国とも国交を結んでおり、そうした関係改善の動きが彼女の参加に結びついたことは想像に難くない。

 サーカスを観覧した際にも、子ども連れの外国人客の姿が目についた。

 「イラク戦争の状況については私たちもよく知っています。情勢はまだ緊張していますが、朝鮮の立場は揺るぎない。外国の友人たちもその事をよく知っているから、こうして訪ねて来るのでしょう」。ロシア、モンゴルなど7カ国のサーカス団による公演を見に来ていた小学校教員のキム・ウンジョンさん(21)は、落ち着いた口調で語った。

色鮮やかなチョゴリ姿

15日、金日成広場で行われた平壌市青年学生の夜会 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 4月の平壌はレンギョウやあんずなど色とりどりの花が咲き乱れ、とくにあんずのピンクと柳の緑のコントラストが何とも美しい。加えて、「太陽節」の期間には、子どもからお年寄りまで、女性たちはピンクや赤といった色鮮やかなチマ・チョゴリで着飾っているので、街全体が華やかな印象になる。朝鮮では、民族性を大切にする意味から祝日には民族衣装のチマ・チョゴリを着るよう奨励しているそうだ。

 大同江の遊歩道を歩くと、ボートに乗ったカップル、水上スキーを楽しむ若者の姿をしばしば見かける。朝は朝で、出勤を急ぐ市民たちに交じって、一緒に散歩する老婦人の集団、釣りをするお年寄り、何やら懸命に暗記している大学生の姿などが目につく。

 ユネスコ親善大使として訪朝していた平山郁夫氏がいみじくも語っていたように、緊迫した空気は一般市民からは微塵もうかがえない。

 「イラクの次は北朝鮮か」。日本で連日、いたずらに緊張をあおる報道にばかり接してきたせいか、平壌に来て、あまりの平穏ぶりに拍子抜けしてしまったほどだ。

 「自主、平和、親善の歌を力強く歌おう!」。「4月の春の祭典」のテーマが示すとおり、平壌には平和、友好ムードが漂っていた。

一般市民の公演も

 金正日総書記の生誕日である「2.16」や「太陽節」に際して、朝鮮の各工場、企業所、事業所などでは「サークル公演」が行われる。従業員は好みに合わせて楽器や歌、詩の朗読などのサークルに加盟し、仕事が終わった午後6時ごろから30分ほど活動を行う。

 今回のように公演を行う時には、1カ月ほど前からそのための練習を行う。脚本、演出などはすべてサークルメンバーが担当する。

 14日、平壌市中区域にある蓮花輸出品加工事業所の公演風景を取材した。シルクベルトを作っている同事業所の従業員はほとんどが女性。重唱の合間に詩の朗読や独唱、また楽器の演奏なども行われたが、なかなかのものだった。それもそのはず。同所はこの区域でもサークル公演の上手な所として知られているという。

 「公演の練習だけでなく、日常のサークル活動を通して職場の団結力を高められるのが何よりです」と、数少ない男性従業員のチャン・ヨンチョルさん(39)。

 芸能のプロが出演する「4月の春の祭典」もいいが、一般市民の素朴な公演もなかなか味がある。(平壌発=文聖姫記者)

[朝鮮新報 2003.4.26]