「後退した平和繁栄政策」−盧武鉉訪米、南各界から失望の声 |
11日から17日まで訪米した盧武鉉大統領。ブッシュ大統領と会談し、15日に共同声明を発表した。南朝鮮各界は今回の訪米結果に対し、北に対する対決姿勢を露骨的に示した「屈辱外交」などと反発を強めている。18日、盧武鉉大統領が訪れた光州の国立5.18墓地周辺では、訪米結果に抗議する韓国大学総学生会連合の集会が開かれ、「低姿勢外交」を非難、「親米外交を霊前で謝罪し、韓米共同声明を撤回せよ」と主張した。 盧武鉉大統領は就任前後から、「核問題の平和的解決」を再三再四強調し、対北政策の原則としてきた。だから今回の訪米では、軍事力の行使も辞さないとするブッシュ政権に対しその原則をどう貫徹するのか注目されていた。 しかし、共同声明には、朝鮮半島で脅威が増大した場合、軍事力行使をも含む「追加的措置」を検討する項目が盛り込まれた。これについて南では米国に一方的にひきずられたという評価が支配的である。 ゙敏・民族統一研究院博士は、「(追加的措置は)米国の一貫した立場が反映されている。とくに先制攻撃のオプションがはっきりと反映」されていると指摘した。 また、金在洪・京畿大統一安保大学院教授は、「DJ(金大中政権)の対北包容政策は、(核問題を)南北当局間対話と連係させなかった。難しいことがあるときこそ南と北が会って解決すべき」と主張しながら、今回の訪米は、盧大統領の平和繁栄政策の後退を表すものだ、と分析した。 与党、民主党からも反発が出ている。とくに金成鎬議員は、「自主性と主体性を喪失し、核問題の対案も模索できなかった屈辱的で失敗の外交だ。民族内部の話し合いに米国の介入を認めたのは反民族的行為。受け入れられない」と厳しく批判している。 一方、対北強硬論を主張してきたハンナラ党は、「盧武鉉大統領のいきなりの対米観、対北観の変化に驚いた」(朴鐘熙スポークスマン)としながら、皮肉にも「大統領非難に熱を上げるのはまことに嘆かわしい」と庇護する態度を見せている。 盧武鉉大統領の支持層も、米国に対しあまりにも屈辱的で従属的だ、「(大統領を)支持して期待する国民を裏切った」(韓相烈統一連帯常任代表)と強く反発している。 盧大統領の「精神的支柱」といわれる宋基寅神父は、「原則を貫かねばならない。迎合する外交は望ましくない」と述べた(16日付中央日報)。 韓国大学総学生会連合は盧武鉉大統領宛の抗議書簡で、「(大統領は)ひとつの成果もなしに一方的に米国に頭を下げ譲歩した」「今からでもわれわれ学生と国民の声を聞き入れ、一日もはやく自主的な姿で、米国よりも民族を重視する姿に生まれ変わることを望む」と主張した。 [朝鮮新報 2003.5.24] |