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〈盧武鉉訪米〉 北南の論調

 盧武鉉大統領の訪米、ブッシュとの会談を通じて発表された共同声明について、労働新聞21日付は「同胞に失望を与えた屈辱訪問」と題する署名入り論評を掲載した。また、20日から開かれた北南経済協力推進委員会第5回会議の場で朴昌蓮北側委員長(国家計画委員会第1副委員長)も核問題の「追加的な措置」の真意などを問いただした。一方、ハンギョレ新聞は16日の社説で一連の「親米発言」を厳しく批判した。以下、それぞれの内容を紹介する。

労働新聞21日付論評

 最近、米国と南朝鮮が共同声明なるものを発表した。一言で言ってこれは、われわれの核問題を浮上させて米国と南朝鮮間の従属関係を再確認し、われわれに対する刺激的かつ挑発的な言辞でつづられている売国宣言である。

 われわれは、米国との「水平関係の樹立」を標榜しながら出現した南朝鮮の現政権が米国の軍事的占領下にある限り、それに操られるしかないということに留意して別に期待をかけなかった。ところが、今回の南側の米国訪問は周囲を驚がくさせている。

 現在、朝鮮半島の全般的事態は「わが民族同士」の理念に従って和解と統一に向かっている。全民族が外部勢力を排撃し、21世紀の祖国統一の里程標である6.15北南共同宣言を履行していくことにのみ関心を寄せ、これに積極的に乗り出しており、北南関係も基本的にこの宣言の精神に即して進んでいる。こんにち、民族内では自主統一の時代の精神に反する行為は許されず、全民族がこのような見地から南側の今回の米国訪問を注視した。

 しかし、南側の今回の米国訪問は、歴史的な6.15共同宣言の基本精神に反して対米追従と共助で北南関係の進展に逆行した屈辱的なものとして全民族に失望を与えた。

 とくに核問題に関し、「追加的な措置の検討」と「南北交流の現実連携推進」をうんぬんしたのは事実上、米国に同調し屈したものであり、これは朝鮮半島で核戦争の危険を増大させる危険きわまりない行動である。

 朝鮮半島の核問題は、米国の対朝鮮敵視政策によって生じたものであり、米国が先に敵視政策を放棄することが問題解決の道理である。ところが米国は、大国だからといってわれわれに「先核放棄」を強要しており、これにより危機の解決はおろか戦争の危険だけが増大している。このような時に、同族に反対する侵略的な外部勢力の戦争熱を冷やすことは出来なくても、戦争恐怖症にかられて「追加的な措置の検討」にまで応じたのは恥であり、恥辱である。いま、内外はこの屈辱的な行動に憂慮の念を表している。

 南朝鮮の各界は共同声明に対し、「米国内のタカ派の主張を全面的に受容した失望すべき低姿勢」「民族共助より韓米共助に執着した対米屈辱の結果」「自主性と主体性を放棄した宣言」だとの烙印を押し、糾弾の声を強めている。

 諸般の事実は、民族自主精神から離脱し民族共助に背を向ければ事大と屈辱に陥ることになり、民族の運命を危うくする結果を招き、民族の呪いと糾弾しかもたらさないということを示している。

 われわれは、すでにわれわれに対するいかなる「制裁」も宣戦布告と見なすということについて明白にした。今回、共同声明に明記された「追加的な措置」などにより今後、朝鮮半島で何らかの予測しがたい結果が生じる場合、その全責任は米国と南側が負うことになるだろう。 (朝鮮通信)

北南経済協力推進委員会第5回会議朴昌蓮北側委員長発言

 南側はまず、核問題を平和的な原則に基づいて解決すべきだと言いながらも、今回、米国と共に作り上げた共同声明なるもので、世人が封鎖と軍事的打撃を念頭に置いたものと解釈し、憂慮する「追加的な措置」に合意した。

 南側はまた、共同声明で北南双方間の経済協力も核問題の解決程度に沿って推進するとした。

 そして、共同声明発表後、これからは「北の言うままにならない」と公言したものとわれわれは知っている。

 南側の行為は何よりも、北と南が合意し、全世界に宣布した6.15共同宣言の根本精神に反する信義のない態度となる。

 また、同族であるわれわれを狙った米国の軍事的、経済的圧殺政策に積極的に便乗する不穏当な行動となる。

 もし、南側が核問題だの、追加的な措置だのとしながら対決の方向へと進むなら、北南関係はゼロになり、南側で計り知れない災難を被ることになるということを肝に銘じるべきであろう。

 一言付け加えるが、われわれは南側に敢えてわれわれに従えと言ったり、ついてくるよう勧告したことはない。

 われわれが南側に言ったものがあるとすれば、6.15北南共同宣言を共に着実に履行しようと言ったことだけである。

 同族であるわれわれがこのようなことを言うからといって、もはや一緒に行けないとするなら、南側が今回示したとおり外部勢力である米国に従って行くということにしか、われわれには理解できない。

 今回、共同声明を通じて示した南側の態度は今、内外の大きな失望と憂慮をかもし出している。

 われわれはこれに深い遺憾を表し、南側の納得できる解明がなければならないと主張する。

 現実は、6.15共同宣言の履行に対する立場から再度明白にすることを求めている。

 われわれ双方は、6.15共同宣言の根本精神に即して誰がなんと言おうと、周辺の環境がいかに変わろうと朝鮮民族同士で共助して和解、協力事業を積極的に推進させていくべきであろう。(朝鮮通信)

ハンギョレ新聞16日付社説

 ハンギョレ新聞は16日、「初めての韓米トップ会談の結果と、これを前後した盧武鉉大統領の相次ぐ『親米発言』を取り巻き、議論が入り乱れている。厳然たる事実として、相手のあるトップ会談ということと、主要懸案に対する韓米の認識差があることから、われわれの望みどおりばかりにはいかないが、極端に米国に引きずられた低姿勢外交だったとの評価が出ることは、恥ずかしく歯がゆいことである」と社説で発表した。

 ハンギョレ新聞は同社説で、「会談結果はもちろん、より懸念されるのは盧武鉉大統領の認識が一方に傾くこと」であるとし、「自身に対する否定的先入観を変えなければという強迫観念と、会談の雰囲気をいい方向に導くために使ったであろう『親米修辞』が日を追って度を増したため、限界線を超えた」という批判が出てくるのと同時に、「いくらリップサービスのレベルだとしても、あまりにも熱心に追従しているように映れば、国民の自尊心に傷を負わせる」と強調。

 挙句の果てには、「米国が53年前に韓国を助けてくれなかったら、私は現在、政治犯収容所にいたかもしれない」という、取り返しのつかない失言に至り、会談後の記者会見で「親米言行」に関する質問に対し、「米国との合意を得るために来たのに、米国が嫌がることや悪口、軽口を叩くわけにはいかない」と抗弁したことは、われわれをよりいっそう失望させ、「『耳障りのいい言葉』でなければ『耳当たりの悪い言葉』と恥じ入ることこそ、『二分法的』思考ではないのか。平和を渇望する国民の真意を堂々かつ正直に、なおかつ『耳障りが悪くないよう』に伝える方法はあったはずだ。『超強大国米国』の実体とそれを強調する周囲の「助言』に臆し、彼の正体すら失うのではないかとの危惧すら抱く」。「国家指導者の言葉や認識が両極を行き来すれば、重みを疑われ信頼を失う。盧大統領はブッシュ大統領との会談を通じ、『米国側の悩み』を多少解消したかもしれないが、彼を積極的に支持した多くの国民の失望と韓半島の平和の直接的な当事者である北の拒否感と反発という新たな問題を引き起こしたことをはっきりと知るべきだ」との見解を示した。

[朝鮮新報 2003.5.26]