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〈6.15共同宣言を振り返る-5-〉 (第5項)合意を具体化、実践

 「5.北と南は、以上のような合意事項を早急に実践に移すために、早い日時内に当局間の対話を開催することにした」

 この項目は、6.15共同宣言を必ず履行するという北南双方の意志を反映したものといえる。

 ちなみに72年の7.4共同声明では、合意事項の推進と北南間の諸問題を解決するため、北の金英柱朝鮮労働党組織指導部長(当時)と南の李厚洛中央情報部長(当時)を共同委員長とする北南調節委員会を構成、運営することで合意した。また、91年の和解と不可侵および協力、交流に関する合意書では、政治、軍事、協力、交流の各分野に分科委員会を設置、論議していくことで合意した。

 しかし、米、日など周辺国の干渉や南の保守勢力の妨害などにより、これらの機構が正常に機能することはなかった。

 6.15共同宣言は、これらに比べ双方の機構に関する具体的な言及はないものの、「早い日時内に当局間の対話を開催する」と謳っている。北と南の両首脳が署名した6.15共同宣言で当局間対話を進めるということは、政府レベルではもちろんすべての朝鮮民族が宣言履行のために努力をしていくということであり、これまでのものとは一線を画すものと言える。

 事実、若干の紆余曲折はあるものの、閣僚級会談をはじめ経済協力推進委員会、赤十字会談などは定期的に行われており、鉄道連結事業と関連した軍当局間の対話や協力も進んでいる。その結果、この3年間で統一へと向かう大きな流れを創りだした。

 このように、6.15共同宣言は統一を必ず成し遂げるという全朝鮮民族の意志を明らかにすると共に、統一への道筋をはっきりと示した。北と南が6.15共同宣言の精神に沿って統一への道を歩んでいる中、在日同胞は何をすべきか。

 6.15共同宣言が発表された2000年、在日同胞社会は統一の熱気に包まれた。学校や総聯支部、同胞の店に集まった同胞たちは、ある人は感涙にむせび、ある人は統一コリアの明るい未来像を語りながら夜を明かした。同年9月には第1回閣僚級会談の合意により、総聯同胞たちの故郷訪問が実現し、訪問団の1世はもちろん多くの在日同胞が、祖国の統一を身近なものとして受け止めた。

 しかし、昨年9月の朝・日首脳会談後、朝鮮に対する日本メディアの執拗な誹謗、中傷報道の影響などもあり、統一への思いはやや冷めた感もある。

 6、7の両日、東京北区の東京朝鮮文化会館で公演を行った南のユンドヒョンバンドのボーカル尹度玹さんは、朝鮮学校の生徒をはじめとする在日同胞らに次のように語った。

 「どんなに小さなことでも、自分ができることをしよう。それがやがては統一につながるのだから」。今、私たちに求められていることだと思う。(終わり)

[朝鮮新報 2003.6.16]