〈6者会談〉 朝鮮中央通信が各国の基調発言の内容などを詳細に報道 |
朝鮮中央通信は8月29日、朝米間の核問題に関する6者会談について詳報し、朝鮮側が示した一括妥結図式と同時行動原則などを紹介した。また、各国の基調発言の内容、これに対する朝鮮の評価などを紹介している。全文は次のとおり。 非核化が総体的目標 27日、北京で開幕した朝米間の核問題に関する6者会談では各代表団団長の基調発言があった。 米国代表団団長のジェームズ・ケリー国務次官補は、米国の目標は北朝鮮の核兵器計画を可視的な検証によって完全に不可逆的に除去することであるとし、北朝鮮が核兵器計画を検証可能に、不可逆的に完全に放棄してこそ、安全保証と政治経済的恩恵問題について論議できるとのべた。 彼は、核問題解決のため米朝双務会談を追求しないとし、朝鮮が核計画を放棄した後に関係正常化を目標としたミサイル、通常兵器、偽造貨幣、麻薬取引、テロ、人権、拉致などの問題に対する米朝双務対話ができるとのべた。 彼は、不可侵条約は適切でなく、必要でもなく、興味もないとし、北朝鮮が核計画を検証可能で、後戻りできないように放棄するということが確認されれば、次の会談で安保上の憂慮問題を他国と討議する用意があるとのべた。 朝鮮代表団団長の金永日外務次官は、朝米間の核問題解決と関連した原則的立場を明らかにするとのべ、朝鮮半島の非核化はわれわれの総体的目標だ、核兵器自体を持とうとするのがわれわれの目標ではない、朝鮮半島非核化はわれわれの発議であって、それを実現しようとするのは一貫した立場であり、全朝鮮民族の渇望だ、米国がこれを阻んでいる、朝米間の核問題が対話を通じて平和的に解決されるには、米国が対朝鮮敵視政策を根源的に換えなければならない、これは核問題解決のキーポイントであり先決条件だ、ブッシュ行政府はわが国を「悪の枢軸」と規定して「核先制攻撃」リストに記載し、核兵器使用企図を露骨化している、われわれはブッシュ行政府が力でわが制度を圧殺しようとしているとの判断を下した、これによりわれわれは強力な抑止力を持たなければならないという決心を下した、われわれの核抑止力はやたらに誰かを攻撃するためのものではなく、われわれの自主権を守るための徹頭徹尾、自衛的な正当防衛手段だ、米国がわれわれに対する敵視政策を換え、われわれを威嚇しないのであれば、われわれも核計画を放棄することができる、米国がわれわれを敵視しないという判断の基準は、朝米間に不可侵条約が締結されて朝米外交関係が樹立され、米国がわれわれと他国との経済取引を妨害しない時と見なす、われわれが要求する不可侵条約は「安全保証」ではなく、法的な拘束力のある互いに攻撃しないという不可侵条約を締結することである、とのべた。 彼は、米国は基本合意文履行を中断させた責任を免れないとのべ、われわれは朝米基本合意文採択以降、核施設凍結義務を完ぺきに順守した、2002年10月、ケリーはブッシュ大統領の特使としてわが国に来て、具体的な「証拠」も提示できず東洋の風習を無視して脅迫的な言動をし、むやみにわれわれが基本合意文に違反してウラニウム濃縮計画を密かに推進していると中傷した。 これに対しわれわれは、いかなる秘密計画もないことを明白にし、われわれは濃縮ウラニウム以上のものも持つようになっているとのべた、われわれには一心団結をはじめ強力な武器がある、ケリーの訪問後、米国はわれわれが秘密核計画を認めたと事実を誤って報道し、2002年11月から重油供給を一方的に中断した、米国のこうした一方的な義務の怠慢により1994年10月に締結された朝米基本合意文は白紙に戻った。 彼は、われわれは朝米間の核問題解決のための措置を同時行動でかみ合わせて履行すべきだとの原則を堅持している、同時行動は朝鮮半島非核化の現実的方途である、同時行動に反対することは朝鮮半島非核化を拒否するものであり、ひいてはわれわれを武装解除させて併どんしようとするものとしか見られない、「早期査察」はいかなる場合にも絶対に許すことができないとのべ、一括妥結図式と同時行動順序を明らかにした。 彼が明らかにした一括妥結図式は、米国は▽朝米不可侵条約を締結し▽朝米外交関係を樹立し▽朝・日、北南経済協力実現を保証し▽軽水炉提供遅延による電力の損失を補償して軽水炉を完工する。 朝鮮はその代わり▽核兵器を造らず、その査察を許容し▽核施設を究極的に解体し▽ミサイル試験発射を保留し、輸出を中止することになっている。 彼が明らかにした同時行動の順序は▽米国が重油提供を再開して人道の食糧支援を大幅に拡大すると同時に朝鮮は核計画放棄を宣布し▽米国が不可侵条約を締結して電力の損失を補償する時点で朝鮮は核施設と核物質凍結および監視査察を許容し▽朝米・朝・日外交関係が樹立されると同時に、朝鮮はミサイル問題を妥結し▽軽水炉が完工される時点で、朝鮮は核施設を解体することになっている。 彼は以上のように、朝米間の核問題解決のための原則的立場を明らかにした後、今回の6者会談を結実あるものにしたい念願から提案するとし、われわれと米国が互いの憂慮を解決するという意思を明白に示すことだ、米国が対朝鮮敵視政策放棄の意思を明らかにすれば、われわれも核計画放棄の意思を明らかにすることができる、朝米間の核問題解決で提起される措置を同時行動に組み合わせて履行するという原則に合意しようとするものだ、今回の会談でわれわれの妥当な提案が無視されれば、米国が「先核放棄」に旧態依然として固執し、時間を引き延ばして適当な機会にわれわれを武力で圧殺しようとする企図を捨てないとしか判断できなくなる、こうした場合、われわれも核抑止力を放棄できないし、強化せざるをえなくなる、核問題の解決いかんは米国にかかっている、とのべた。 中、露、南、日も基調報告 会談では中国、ロシア、南朝鮮、日本側も基調発言をした。 中国代表団団長の王毅外務次官は、核問題を平和的に解決すべきであるとし、朝鮮側が提起した不可侵条約締結、米国との平和的共存および関係正常化、他国との経済貿易関係樹立要求は肯定的で建設的であり、正当かつ合理的なものだ、不可侵条約締結問題は朝米直接対話を通じて解決されなければならない、朝鮮半島非核化と朝鮮側が提起した安保憂慮は同時に解決されなければならず、核問題の平和的解決を契機に朝鮮半島に平和体系を樹立することで、強固な平和を実現しなければならない、朝鮮半島の非核化は北南の根本利益と北東アジア情勢の安全守護に有利だ、とのべた。 ロシア代表団団長のロシュコフ外務次官は、朝鮮半島で緊張激化を解消するための緊急対策が必要であるとし、相互措置を一括的に作成して「ロードマップ」をつくることが重要だ、ロシアは朝鮮半島の非核化と強固な平和を保障し、すべての地域諸国のための頼もしい安全を維持し、互恵的な協力を発展させるうえで利害関係がある、とのべた。 南朝鮮代表団団長の李秀赫外交通商次官補は、6.15北南共同宣言を誠実に履行していくことだ、同胞愛的、人道的な見地で朝鮮に対する経済的支援を継続していく、核問題は包括的に解決されるべきだとのべ、「同時行動順序」を示した。 日本代表団団長の藪中三十二外務省局長は、核問題と共にミサイル、拉致問題が包括的に解決されるべきだとのべた。 「危うい次回会談の展望」 6者会談で行った各代表団の基調発言を通じて各国の立場を次のように評価することができる。 われわれは、朝鮮半島の非核化と平和と安全保障がわれわれの目標であるとの一貫した立場を今一度明らかにし、同時行動原則など、核問題の平和的解決のための明白な方向と具体的な方途を全面的に示した。 われわれは、米国の対朝鮮敵視政策放棄対われわれの核計画放棄を目標に掲げ、そのためのすべての措置を一括的に同時行動の原則に基づいて段階別に履行していくことを求めるとともに、一括妥結図式と同時行動順序まで示した。 中国、ロシア、南朝鮮も核問題の平和的解決を促すとともに、一括妥結と同時行動方式を取ることについて指摘した。 日本は、核問題の解決よりも拉致問題のようなものに焦点を集中して6者会談を国内の政治的利害関係に合わせて利用しようとする態度を示した。 基調発言の全般的な論調を見ると、朝鮮半島の非核化、平和と安定を遂げ、核問題を平和的に解決しなければならず、そのために朝米間のすべての憂慮事項を一括的に同時行動原則に基づいて段階別に履行しなければならないというのが支配的である。 しかし、遺憾にも米国はこうした見解を全面拒否した。 米国は実質的な政策転換の意志を見せず、一括妥結図式と同時行動原則に反対意思を表明した。 米国は、われわれが核計画を完全に放棄してこそ、安全保証問題や経済協力問題を論じることができるし、われわれが核計画を完全に放棄した後も双務関係を正常化しようとするならミサイル、通常兵器、人権など、その他の問題も論議しなければならないとの立場である。 米国は、われわれが今回、核計画放棄意思を明らかにしてこそ、次の会談につなげることができるとのべた。 結局、米国はわれわれが武装を残らず解除した後に動くということである。 銃口を突きあわせている状態で、他方にこうした要求をするのは、常識にも反するもので、その真意について深刻な疑問を提起するものである。 われわれを武装解除した後、併どんしようとするものとしか見ることができない。 限界を超えるにもほどがある強盗的な要求である。 結局、今回の6者会談を通じて米国が対朝鮮敵視圧殺政策を旧態依然として追求しながら圧力でわれわれの武装解除を企んでいることがより明白になった。 事実、わが方は今回の会談で最小限、「米国の政策転換の意思対朝鮮の核放棄意思」表明程度の合意が遂げられて、せっかく開かれた対話のプロセスが継続されることを期待した。 しかし、こうした期待すらもなくなった状況のもと、われわれがいかなる対応をするかは、誰も容易に察することができるだろう。 米国は、言葉対言葉で政策意志を明らかにすることすらも完全に拒否することにより、次回の会談の展望そのものを危険に陥れた。(朝鮮通信、中見出しは編集部) [朝鮮新報 2003.9.4] |