活気づく北南地方交流−釜山市長、済州道知事に聞く |
【平壌発=金志永記者】南の大邱で第22回ユニバーシアードが開催されていた8月下旬、釜山市代表団と済州道民訪問団が民族和解協議会の招請で北を訪問した。昨年秋釜山で開かれた第14回アジア競技大会には、北の選手団、応援団が参加した。今回釜山市からは、市長と企業家らで構成された代表団が平壌を訪問し、北側と一連の経済協力事業について討議した。道知事を団長とする済州道民訪問団は総勢256人。済州道の大規模訪問団が北を訪問するのは昨年5月と11月に継ぎ3回目だ。訪問団は白頭山など各地を参観した。活気に満ち発展する地方次元の北南交流について、安相英釜山市長と禹瑾敏済州道知事に話を聞いた。 安相英釜山市長 ―今回の訪問で所期の目的は達成できたか。 半世紀以上存在した壁が、今まさに崩壊していっているという印象だ。 昨年のアジア競技大会の成功で北に対する信頼感が高まった。一方、北側も信頼を示した。釜山市は、いわゆる地方政府なのだが、地方政府としては初めて北に招請された。互いの信頼をさらに発展させるきっかけになり、われわれが北を訪問したこと自体に大きな意味があると思う。 今回、私だけでなく企業家らも一緒に訪問した。初めはただ会うだけにしようと思ったが、会って話してみると、われわれの提案に北側が積極的に呼応してくれた。経済的な側面で、互いに助けになる話が多かった。政治的側面から接近したのではなく、実質的に経済に寄与できる人同士会って話をしたからだろう。こういう出会いが拡大されることを期待する。 ―どういう方向で経済協力事業を推進するのか。 今回、釜山の経済現況を北側に詳細に伝えた。ここで北の立場にぴったり合い、大きなことでなく小さなことから一つずつ成就していこうというのが、われわれの立場だ。実利を保障しながら、着実に積み重ねていくことが重要である。 釜山が協力できる分野は、港湾、水産、靴、繊維など多様である。だからといって、釜山が行っているまったく同じ事業を北でしようとするのではなく、実質的に北に助けになる事業をしなくてはならないと思う。このような問題を真しに話し合った。その結果、一連の合意を見ることができた。 ―昨年のアジア競技大会は、釜山市民にどのような変化をもたらしたのか。 大会については、楽しい思い出とやりがいだけが残っている。南と北の若者が初めて会って最初は緊張している様子だったが、時間が経つに連れ、自然な関係になっていった。良い光景だった。 今回、平壌で大会に参加した北側の関係者、応援団員らと会った。彼らは統一の下地を作った人たちだ。私が市長としてしなければならないことは、あの時の出会いを南北の若者が引き続き心に刻むことができる機会をつくることだと思う。釜山は映画祭を開催しているし、合唱団や吹奏楽団、民族舞踊などの文化交流も良い。われわれは今後もたびたび会わなければならない。大会の成果を生かしていくためには、南北が信頼に基づいて行動し、交流、協力において具体的な結果が出るようにする事だ。特に経済部門がそうである。 地方政府次元で、信頼をパターンに南北交流が行われれば大きな効果があるだろう。国が言っている和解、平和、統一に寄与することになるからだ。 禹瑾敏済州道知事 ―済州道民訪問団は昨年5月、11月に続いて今回、3回目の訪問になる。 正直言って、われわれの事業がこれほどまでに発展しようとは考えもしなかった。 大規模の訪問団事業は、最初から計画されたものではなかった。1998年、北から食糧問題が提起された時、道民たちに呼びかけ済州道だけで採れるミカンを北に送る運動を展開した。同胞愛の心情から始まった事だが、北側は誠意を示し済州道の人々が求めるのなら、1度北に来れば、と言ってきた。このように以心伝心で自然に流れが形成された。人間の縁、絆とはこのようにして結ばれるものだろう。 ―訪問団事業が繰り返されるようになって、道民たちの反応はどうか。 訪問団事業に参加した人たちは、各分野別に職業も多様だ。ミカン栽培に携わっている農民たちもおり、労働組合で活動している人もいる。普通の商売をしている人もいる。訪問団事業を通じて、北に対する親近感が今まで以上に深くなっている。 済州道には漢拏山がある。済州道民は北を訪れて白頭山に登る。漢拏−白頭、これは統一の象徴的な意味がある。 済州道は北側の人士たちも行き来した。第3回南北閣僚級会談は済州道で開かれたし、北の人民武力部長が国防部長官との会談のために南を訪れた時も、済州道に来た。2000年9月には、朝鮮労働党の金容淳書記一行も訪問した。 このように、頻繁に往来することがすべての出発点であると思う。今後、済州道で統一民族平和体育祭典が行われるが、北側から全今振内閣参事を団長として、大規模の代表団が参加する予定だ。道民たちは祭典に好意を持っているし期待もしている。 ―今後、交流事業をどのような方向へ発展させようとしているのか。 われわれがこのような訪問団事業を推進する過程で、さまざまな交流計画が提起されてくるだろう。可能なものから実現していく事が重要だ。 例えば、来年4月に済州道でアジア太平洋観光総会(PATA)が開かれる。観光業を専門にする人たちが集まる場だけに、PATA加盟国の北側も参加すれば良いのではないか。今回、各所を参観したが、それらの場所をうまく紹介すれば、世界から多くの観光客が訪れるのではないか。 また、済州道は「平和の島」として各国の人たちを招待し国際平和フォーラムのようなものも開いてきた。北側の人たちがそこに参加する事も出来る。今の核問題や北の対外政策について説明し、他国の人たちが理解出来るようにすれば、それにこした事はない。北が求めるのならば、われわれがそのような機会を提供することも出来る。 [朝鮮新報 2003.9.12] |