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〈現代化終えた江西薬水加工工場〉 ヨーロッパなどに輸出

 【平壌発=李松鶴、盧琴順記者】平壌市江西区域にある江西薬水加工工場。江西薬水は約30種の病気、とりわけ胃病に特に効果があることから、昔から名水として広く知られてきた。74年10月21日から操業してきた加工工場は今年の10月21日、現代的な設備を取り入れ、主に朝鮮国内の西部地域に薬水を供給しているほか、ヨーロッパをはじめとする世界各国に輸出している。

炭酸ガスと共に噴出

 操業から29年経った同工場ではこれまで、電力とビン不足によって、薬水を十分に供給することができなかった。そこで昨年から現代化に取り組み1年で工事を終え、今年の4月から試験的に生産を開始した。その結果、生産量は操業当時の10倍になった。試験生産を始めたのを機に噂が市民たちの間に口から口に伝わり、最近では薬水を直接工場に買いに来る市民も多いという。

ヨーロッパなどでも人気のある江西薬水

 江西薬水の湧水口からは水と共に炭酸ガスが湧き出るため、水が勢いよく噴出している。同工場のキム・セグクさん(50)は、「設備の組立のために工場に来ていた外国の技術者たちは、当初はホテルのミネラルウォーターを持ってきていた。しかし、そのうちのイタリアの技術者に湧水口を見せたところ、『世界各国を回ったが、こんな湧き水は初めて見た』と両手の親指を立てながら、次の日からはすべての技術者が江西薬水を飲むようになった」とエピソードを話してくれた。

 現在、湧水口からは1日に400トンの薬水が湧き出ている。工場では噴出する水と炭酸ガスを分けて貯蔵し、ビンに詰める際に一緒にする。「注入する時はまず炭酸ガスを入れてビンの中の空気を追い出し、その後に薬水を入れる。空気が混入していると薬水の中の鉄分が酸化するなど水本来の味が変わってしまうから」(キムさん)。

 江西薬水の炭酸ガスはとても良質で、冷泉サイダー工場や大同江ビール工場などから購入しにくるほどだ。余談ではあるが、蚊は炭酸ガスが好きなので、湧水口周辺は他の地域に比べとても蚊が多いそうだ。

 江西薬水の国内での販売価格は一瓶(650ミリリットル)13ウォン、輸出するときは1トンにつき140ドルだそうだ。

「旧薬水」「新薬水」

 1936年に編さんされた「江西郡誌」には、1600年代の話として次のような話を紹介している。一羽の鶴が毎日のように水を飲んだり水浴びをしているのをある農民が見た。近づいてみると足の折れた鶴で、何日かするうちに完治した。不思議に思った農民がそこを掘ってみると、3色の色が混ざった冷たい水が湧き出た。何日か飲んでいるうちにそれまで胃の病気を患っていた農民の体調がすっかりよくなった。

 朝鮮では、薬水里から湧き出るこの薬水を「旧薬水」と呼び、薬水里のものとまったく同じ成分の江西薬水のことを「新薬水」と呼んでいる。

 「この地域からは、キム・ウンソ将軍など昔から名だたる人物がたくさん輩出している。それもきっと薬水と何らかの関係があるのだろう」とキムさんは微笑んだ。

[朝鮮新報 2003.11.25]