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〈月間平壌レポート〉 在日同胞を温かく迎える市民

 【平壌発=姜イルク記者】「今年の冬は暖かくなるよ。大根のひげが短いから」

 科学的根拠のない話に耳を傾ける気はなかったが、実際に25日現在まで気温は例年より高く、毎年この時期に降る初雪もまだ降っていない。

 市内の通りには150余の焼いも、甘栗の露店が並び、それをほお張る人びとでにぎわっている。

 今年の11月の市内は活気があり、栄光通りなど主要通りが一新されるなど、雰囲気も明るい。

「ほんとうに来てよかった」

 雰囲気が明るいと感じるのも、平壌ホテルに修学旅行で訪朝した日本各地の朝鮮高級学校生徒らが宿泊しているからかも知れない。

 例年は、生徒らは「万景峰92」号が運航される4月から10月の間に訪れ、ちょうどこの時期は閑散となる。

万景台学生少年宮殿を訪れた東京朝高の学生たち

 今年はSARSに加え、日本当局が前例のない警戒態勢をしき、「万景峰92」号の新潟港入港を阻止したため船は8月末からの運航にずれこみ、修学旅行の時期が遅くなった。

 関係者らはこのことは承知で、いつになく彼らを温かく迎えようとハッスルしていた。

 11月最後の「万景峰92」号で訪朝した神戸朝鮮高級学校3年の盧美沙さんは祖国訪問2回目。「案内をしてくれた方や運転手、(宿泊した)平壌ホテルの従業員の方々は、日本で暴行にあっていないかなどと心配してくれ、以前にも増してやさしくしてくれた。神戸朝高の訪問団はいろいろな事情で11人という少人数になり、寂しくならないかと心配もしたけれど、ケ・スンヒ選手や南に行った応援団との面会など、思い出に残る祖国訪問だった」。

 一方、東京朝鮮中高級学校3年の夫善美さんは、親の反対などで訪問を迷っていたが、出港の5日前、決心した。「来てほんとうに良かった」。

 夫さんは、教員に日本の「北朝鮮」報道を信じなくていいと言われたが、そのとおりだったと話す。「みんなやさしくしてくれる。言葉が通じるかとの不安もなくなった。祖国訪問を満喫している」。

 生徒らの表情はとても明るかった。

「撮らないでください」

 KEDOの軽水炉建設の中断などで朝鮮半島情勢の緊張はさらに増し、また南の政局の不安定、北の対南人事の異動、さらに平壌観光事業の一時中断など、今後の北南関係が心配されていたが、北南間の交流は、11月に入っても継続されている。

 済州道祭典(10月下旬)のような大きなイベントこそないが、報道に出る代表団から、報道されないトップシークレット級の人士まで平壌を往来している。実際、11月中旬に市内のある施設で、南の人が大勢の対南関係者に案内されていたが、撮影は許可されなかった。

 民族和解協議会(民和協)のキム・ソンイル常務委員は、情勢や環境がいくら変わろうとも、北は民族共助の原則から脱線することはないと断言していた。

 ちなみに、観光事業の一時中断は寒くなる気候を考慮したもので、来年春からの再開は合意済み。

 キムさんは、「朝米関係は少し様子を見なければならないが、われわれはいつも自信に満ちている。北と南が固く手をつなぐ時、困難な情勢も突破できる」。

[朝鮮新報 2003.10.27]