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〈4カ月の平壌滞在@〉 サービス第1、変わる意識

 「経済は破たん状態で、市民はご飯も食べられず脱北者はますます増えている」。約4カ月ぶりに平壌から日本に帰ってくると、あいも変わらぬ「北朝鮮バッシング」、あきれ返ってしまった。日本での報道がいかに過大なものなのか、平壌に滞在しながら取材し、見て聞いたことを3回にわたって紹介する。(李松鶴記者)

ジャガイモから米に

 「おかゆがいいですか、それとも普通のご飯がいいですか」

 平壌到着後、最初の朝食のときウェイトレスが言った言葉だ。

 およそ2年ぶりの平壌取材だったが、以前はこちらから言うまで、こうした問いかけはなかった。両方を一度に持ってくるとか、機械的、一律的な反応が目立った。

 「これからはサービス性を高めていかないと。極論すると、今までは働いても働かなくても給料は同じ。でも今はそうではない。働いた分だけ給料をもらえるわけだから、がんばらないと。もちろん、日本で苦労している同胞の皆さんに心置きなく過ごしてもらいたいというのが第一の目的」とあるウェイトレスが耳打ちしてくれた。

 ホテルの朝食にはオムレツ、目玉焼き、スクランブルエッグなど卵料理が必ず出た。

 どこでも見られる定番のメニューだが、平壌では久しぶりだった。そのわけは万景台鶏工場にあった。そこで生産される卵が毎日のように市民に供給されている。一人につき1カ月40個にのぼるそうだ。

 また、以前は主食としていろいろな形で食卓を飾っていたジャガイモが、今回は主食の席をコメに譲り、副食としての役割を果たしていた。

エステと生ビール

おやつを楽しむ蒼光幼稚園の園児たち

 今回の平壌滞在期間に感じたことのひとつに、子どもたちが以前に比べとてもふくよかになったということがある。

 大同江畔で遊ぶ子どもにはじまり、取材で訪れた託児所、幼稚園の子どもたちはみな、健康的で「ぷくぷく」していた。

 託児所から幼稚園、小学校までの子どもたちには、毎日のように豆乳が支給されており、託児所や幼稚園の子どもたちはおやつの時間をとても楽しみにしているという。

 まだまだ食糧事情は緊張しているものの、「95年からの『苦難の行軍』の時期に比べればはるかによくなった」というのが、市民たちの大方の声である。

 それを反映しているかのように最近、平壌の若い女性たちはエステ(美顔)やヘアースタイルなど、身の回りのことにも給料を使い始めているそうだ。

 仕事を終えた男性たちはといえば、大同江ビール店で、同僚たちとちょっと一杯、アフターファイブを過ごしている。

[朝鮮新報 2003.11.29]