朝鮮で新たな科学技術発展5カ年計画遂行のための課題と方途提示 |
朝鮮では、1998年から2002年までを科学技術発展5カ年計画期間に定め、科学技術を発展させてきた。10月30日から31日まで平壌で行われた全国科学者、技術者大会では、この計画の課題遂行状況を総括し、新たな科学技術発展5カ年計画(03−07年)を遂行するための課題と方途が提示された。 新たな計画の課題は膨大であるが、大きく分ければ◇人民経済の技術改善および現代化◇人民生活の向上◇先端科学技術の発展◇基礎科学の研究の4部門に分けることができる。また、これを遂行する方途として、◇研究課題を経済発展に結びつく部門に集中させること◇経済と科学技術を密接に結合し同時に発展させること◇最先端技術発展のため、この部門の研究課題の比重を高め、また目標も高く設定することが指摘された。 また米国がKEDOによる重油提供を中断するなか、計画の当面課題として、重油に頼らない火力発電設備を開発することなどが指摘されている。経済管理システム改善措置が講じられるなかで、課題遂行のための方途として、科学技術を「知的商品」化する問題が提起されるなど、時代の要求が大きく反映された計画と言える。 優先順位はっきりと 昨年までの科学技術発展5カ年計画では、研究機関に対して年間数千件の研究課題が課せられる一方で切実に発展が要求される部門に力量が集中できない現象もあった。 大会では計画遂行の方途として、研究課題を経済発展をもたらす部門に集中させること、すなわち課題の優先順位をはっきりとさせることが示された。 例えば、人民経済の技術改善、現代化の課題では、電力問題解決に大きな力を入れることが強調されたが、中でも平壌火力発電所など、大規模の火力発電所に最優先的に、重油をほとんど使わずに石炭だけで電力を生産できる循環沸騰層燃焼技術を導入することが指摘された。今後の目標は重油に頼らなくても電力生産に支障をきたさないようにすることだという。過去の5カ年計画にはなかった項目だ。 キム・ドンサ科学院科学参事は、「循環沸騰層燃焼技術の基礎研究は終わり、現在は導入段階にある」と説明した。 また、スプン、チャンジョン水力発電所は、タービンを交換するだけで電力生産が5〜7%アップするので、最優先的にこれを解決する作業に取り組むという。 経済との結合 大会ではまた、科学技術発展の方途のひとつとして、経済と科学技術を結合させ、同時に発展させることが指摘された。キム参事によると、科学技術研究の成果を価格で評価し、これを「知的商品」の形態で流通させることによって、科学技術の研究事業に経済論理を貫徹させることを念頭においている。社会主義の原則を守りながら、最大の実利を追求するという経済管理システム改善政策が科学部門にも適用されたと言える。もちろん以前の計画にはなかった項目だ。 経済発展計画と科学技術発展計画がかみ合わないと、科学者、技術者らは、自らの研究課題が現段階で要求されているのか、需要がどの程度あるのかわからず、研究成果が経済部門に実際に導入されない場合もある。経済と科学技術の結合はこのような現象を克服するための方途と言える。 キム参事によると、この具体的な運営方法は充分な論議を重ねて確立していくという。「この先、科学技術の成果に対する価格評価制度が実現されれば、実践に役立つ科学技術を全国に速やかに普及させていく契機になる」という。 成果を土台に新たな課題 最先端科学技術発展の対象は、生産ラインの自動化、情報通信網の構築、各種プログラムの開発など情報技術から、生物工学、宇宙開発技術等々、数多くの部門におよぶ。大会では、新たな計画課題にはさらにナノテクノロジーが加わるなど、分野も広がった。 また、技術水準に対する要求も高い。 去る5カ年計画期間には、クローンウサギ、クローンネズミを開発したが、新たな計画ではクローンヤギを開発することが課題に挙げられた。やぎは野原の少ない朝鮮の風土に合った家畜で、需要が高い。クローンウサギ、クローンネズミの開発は、そもそもクローンヤギ開発の基礎研究が目的で今後、過去の5カ年計画期間に収めた成果を土台に開発が進められていく。 キム参事は、新たな計画の課題は膨大で目標も高く設定されているが、科学者、技術者らは、強盛大国建設のため計画を遂行していく意欲に満ちていると話していた。(平壌発=姜イルク記者) [朝鮮新報 2003.12.4] |