〈4カ月の平壌滞在B〉 「日常茶飯事」の出会い |
理解できない歌 「柳京鄭周永体育館の開館式のときに歌った若い男性グループは、南では人気があるんですか。実は何を歌ってるのか、内容がさっぱり理解できなかった」 「私も、彼らの歌っている内容を理解できない。南でも私たちの年代はほとんどそうでしょう。北南の差というより、年の差でしょう」 10月末、済州道で行われた民族統一平和祭典に参加した、ともに50代の北の記者と南のガイドのやりとりだ。 6.15共同宣言発表後、北南間での交流が活発になるにつれ双方の距離は着実に縮まりつつある。 釜山アジア大会や大邱ユニバーシアード、済州道平和祭典など、北の人々が南に行く機会もかなり増えてきたが、平壌市民は南の人の訪問を、「日常茶飯事」としてとらえるようになっている。 「今日はどんな分野で働く南の人と会ってきたんですか」 取材を終えて、事務所のある平壌ホテルのカウンターで一息ついていると、かならずこうした質問を受ける。彼女たちも新聞やテレビで南の団体や代表が来ていることを知っていて、南の人々がどんなことを考え、どんな話をするのかということに興味津々の様子だ。 「百聞は一見にしかず」 平壌に滞在していた7月から10月までの間、教師や医師、放送関係者や民間団体など、団体や分野こそ違うが常に南の人が「常駐」していた。 平壌市民も市内を参観する南の人々を見かけると、手を振ったり握手を求めたりと、彼らとの出会いを特別視しなくなった。 KBSのど自慢では南のMCソン・ヘさんのトークに大笑いし、南の教師の歌に涙する北の教師たち…。「こうして出会うことがすでに統一だ」とは、北南双方の人々が口をそろえていう言葉だ。 「今日が最後だから言いますが、最初は皆さんのガイドを担当すると決まってとても不安だった。大邱の時に来ていた記者が多かったので、会うまではどんなに怖い人たちかと思っていた。ところが、実際に会ってみたらとても紳士的でジョークも通じるし、同族としての情がわいた。また必ず会いましょう」 済州平和祭典が終わり空港で別れる際、南のあるガイドは記者一人ひとりと握手を交わしながら、このように語った。 日本では、北南関係の現状について詳細に伝えられていないが、「百聞は一見にしかず」で北と南の人々が交流を深める姿は、統一が近い将来、必ず実現するということを実感させてくれた。(李松鶴記者、終わり) [朝鮮新報 2003.12.8] |