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イラク追加派兵、不正資金など混乱続く南の政局

 市民の熱烈な支援を受けて昨年12月の選挙で勝利を収め、これまで国政を導いてきた盧武鉉大統領。しかし、イラクへの追加派兵問題や側近の不正資金問題などにより求心力を急速に失いつつある。盧大統領を支持し政治改革を推進しようとする勢力は民主党から脱退、「開かれたウリ党」を作ったものの、民主党はハンナラ党と連携して大統領選挙時の盧氏側近らの不正資金に関する特別検事法の制定に躍起になるなど、南の政局は混沌としている。(李松鶴記者)

市民は派兵反対

 イラクへの追加派兵問題は南の各層から猛烈な反対を受けている。追加派兵問題は米国が9月初めに南の当局に要求したもので、それ以来マスコミは連日1面で派兵問題を扱ってきた。こうしたなか、参与連帯、民衆連帯など361の市民、社会団体は9月16日、記者会見を開き、米国の要求どおり政府が追加派兵を進めるならこれを阻止するため共同で、強い姿勢で対処していくことを明らかにした。

 政界でも派兵反対の声は根強く、「反戦平和議員の会」は9月18日に記者会見を行い議員19人の共同名義で声明を発表。「イラクへの戦闘員追加派兵は断固として拒否すべき」との立場を明らかにした。民主労働党も9月17日に行った記者会見で、「派兵のいかんを問う国民投票の実施」を提案。今後イラク派兵に反対するすべての市民、社会団体とともに「国民投票共同行動」を展開する予定だと述べた。こうした反対の動きにもかかわらず、政府は10月18日に行われた国家安全保障会議でイラクへの追加派兵を正式決定し、これを国会に提出した。

 民主党の金聖順スポークスマンは10月19日、政府のイラク追加派兵決定と関連して論評を発表し、政府当局は派兵を決定するまで国民を欺く役割を果たしてきたと指摘しながら、「政府の派兵決定過程を国民の前に公開」すべきだと強調した。「反戦平和議員の会」に所属する10人の議員も記者会見を開き、追加派兵に反対の立場を再度表明した。また、「開かれたウリ党」の任鍾皙議員もこの日からハンストに突入した。任議員は、イラクへの戦闘員派遣は事実上、米軍を代行して戦争を遂行するもので韓国軍の犠牲は不可避となり、派兵決定による「国論の分裂と反米雰囲気をかんがみた場合、国益にはなんら助けにならない」と主張した。また派兵同意案が国会を通過した場合、その場で議員職を辞職すると付け加えた。

 その後も派兵反対運動が市民、社会団体が中心になって活発に行われているなか、11月30日にはイラクで韓国の民間企業の職員4人が死傷する事件が発生し、派兵をめぐる論議はさらに複雑になりつつある。

 全国民衆連帯と参与連帯など360の団体で作られたイラク派兵反対非常国民行動(国民行動)は1日、ソウルの米大使館横で緊急記者会見を開き「今回の事件は政府の派兵決定に対するち密に準備された攻撃」だと規定し「派兵決定を撤回し、イラクにすでに配置されているソフィおよびチェマ部隊もすぐに撤収させること」を強く求めた。国民行動は11月26日にも「イラク派兵撤回を促す第3回非常時局会議」を開き、イラク派兵に対する国民の意思を問うことを求める「1000人宣言文」を発表した。

 こうしたなか、尹永寛外交通商部長官は1日、緊急記者会見を開いて犠牲となった2人の民間人と遺族らに深い哀悼の意を表しながらも、「派兵問題はこの事件によって影響を受けることはない。今現在、既存の派兵方針が変わっていないことを知らせる」と強調した。

国政運営の正常化求む

 盧武鉉大統領は10月10日の記者会見と同月13日の施政演説で、崔導術前青瓦台総務秘書官のSK不正資金問題と関連して国民に再信任を問う旨を明らかにした。しかしこの問題はその後、側近の不正事件に関する特別検事法制定へとシフトし、「聖域なき捜査」を先頭に立って進めるハンナラ党が盧大統領に対する捜査を請求。「開かれたウリ党」はこれを違憲と主張、盧大統領も11月25日に特別検事法制定に対する拒否権を条件付で行使した。これを受けてハンナラ党の崔代表はハンストに突入。国会は完全にまひ状態と化した。

 その後大統領選挙時の不正資金問題は、ハンナラ党の金額が圧倒的に多いものの、与野党ともに検察に追及されているが、双方とも捜査には非協力的で一時は正常運営されていた国会の運営も先が見えない状態だ。

 南の政局は、イラクへの派兵問題と大統領選挙時の不正資金問題で揺れに揺れている。しかし、10日に住民の猛反対により扶安郡(全羅北道)に建設が予定されていた核廃棄場計画が白紙に戻るなど、市民らの運動により混沌とした政局を変えていこうという動きも見え始めている。

[朝鮮新報 2003.12.15]