KAL機失踪事件で家族会、対策委が真相究明強く求める |
1987年11月29日、インド洋上で突如、消息を絶った大韓航空機(KAL)858便。しかし乗客115人の死体はおろか遺品もいまだに発見されていない。また、当時の政府がブラックボックスを探す努力を一切しなかったこともあり、遺族らは疑問を持ち始め、「KAL858便家族会」(家族会)や「金賢姫KAL858失踪事件真相究明市民社会対策委員会」(対策委)などの組織を作り、真相究明を求めてきた。 11月3日にはカトリック教の神父162人が115人の被害者一人ひとりと「祈とう結縁」を結び復活の祈とうを捧げるとともに、事件の真相究明を強く促していくことを表明するなど社会的な広がりも見せつつある。 こうしたなか、家族会と対策委は、KAL機が失踪して16年になる11月29日、ソウル市内の慰霊塔前で同事件の真相究明を求める記者会見と追悼式を開き、国家情報院(旧安全企画部)に公開質問状を提出した。 記者会見では、参加者を代表してオ・ジョンリョル全国連合常任議長が発言。「大統領選挙投票日前日、政府が真由美(金賢姫)という女性を(バーレーンから)連行し、選挙に決定的な影響を及ぼした。あまりにも荒唐無稽だった」と当時を振り返った。 続いて家族会が「国民に送るアピール」を発表。その中で@政府が事件の真相を徹底的に調べること、A「金賢姫」など真相を知る人物の良心宣言と真相の告白を求める、Bメディアも真相究明をする、C問題解決のために政治家が努力する、D全国民が関心を持ち支援してくれるよう訴えた。 一方、対策委は記者会見文を通じ「国家情報院は自ら真相を解明する用意があると述べておきながら、実際には何もしていない」と指摘したうえで、「KAL858便爆破事件に関する国家情報院の捜査結果はすべて疑惑に包まれており、金賢姫は欺瞞劇に動員された演技者ではないかという疑惑も消せないのが実情。国家情報院は進んで自らの誤った過去をぬぐい去る勇気を見せるべき」だと促した。 この日の記者会見には「破壊工作」の著者である野田峯雄氏も参加。「勇気を持って最大限の力を集め、それぞれがそれぞれの位置でできる最善の力を発揮して事件の真相究明のためにがんばっていこう」とエールを送った。 一方、KAL機事件の捜査を担当した国家情報院の職員5人が、事件ねつ造説を含んだ小説「背後」の著者と出版社を名誉棄損で訴えたことと関連し、検察が「金賢姫」を事情聴取のため召喚することを検討していたところ、先月末から行方不明になっていることが明らかになった。 南のメディアは「金賢姫」の失踪について、真相が明るみに出ることを恐れての行動ではないかと分析している。 [朝鮮新報 2003.12.15] |