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〈回顧 ’03朝鮮半島-下-〉 自力更生と実利主義

 米国による軍事圧力、経済制裁が続くなか、朝鮮は実利主義に基づいた経済政策を展開、強盛大国建設に向けてまい進した。昨年初の経済改善措置以後、全般的経済の底上げと市民生活向上のための動きは、さまざまな分野で実を結びつつある。

電力生産で前進

 今年、新年に際した労働新聞、朝鮮人民軍、青年前衛の共同社説は電力、石炭、金属工業と鉄道輸送を引き続き経済活性化の基本とみなし、これらの分野での新たな革新を促した。

 その結果今年1年間、少なからぬ成果を収めた。

 その中でもエネルギーを供給する電力部門はもっとも重要な部門だが、同分野での革新はめざましいものがあった。

 平壌火力、北倉火力発電連合企業所をはじめとする火力発電所と江界青年、泰川などの水力発電所では、置かれた状況が厳しいなかでも毎月の電力生産を昨年より数万キロワット増産した。

 とりわけ火力発電所では昨年12月、朝米枠組み合意(94年)に基づく重油提供を米国が中断して以来、重油の消費量を少なくしながら電力生産量を落とさないための「技術改建(改良)」事業に取り組んだ。

 たとえば、東平壌火力発電所の場合、重油消費量削減に取り組んだ結果、従来の半分以下に落とすことに成功。それとともに3日に1度、ボイラーを止めて総点検を行い、事故を未然に防ぐことで稼働率を昨年比で1.7倍にすることに成功した。

 一方、現存する発電所の生産能力を高めるとともに、元山青年発電所や漁郎川発電所、礼成江発電所などの大規模発電所の建設も活発に行われている。

 中でも元山青年発電所は、数十キロにおよぶ水路建設と送電線工事、道路工事と2、3号発電機室の建設を年内に終え、現在は水路のトンネル掘削作業に取り組んでいる。

 同青年発電所の完成により、年間数億キロワットの電力生産が見込まれており、江原道の電力問題が解決することになる。

市民生活も向上

 この一年間、市民生活向上のための事業も活発に行われた。

 朝鮮の各地にすでに建設されている基礎食品工場や鶏工場、メギ(鯰)工場などでは生産正常化のための事業に取り組み、成果を収めた。

 67年に操業を始めた万景台鶏工場は、設備の現代化を終え、生産能力の向上に成功した。1日の卵生産量が数十万個という同工場では、古くなった設備を修理、再度組み立てることで現代化を行い、足りない部分を外国の設備で補っている。

 平壌市内では同工場をはじめとする各鶏工場のおかげで、市民らにひと月40個の卵を供給できるようになった。

 一方、農業分野でも平壌市や平安南道、南浦市の土地整理事業が大々的に行われ、来年度からは黄海北道と咸鏡南道で行われる予定だ。また、「種子革命」(品種改良)や二毛作も活発に行われ、食糧問題の改善に貢献した。

 農業部門では、价川―台城湖水路や白馬―鉄山水路などの大規模な水路建設が行われたことで、国家レベルでのかんがい事業も大きく前進した。

 畜産部門でも、ヤギの頭数は昨年比で4万3000増、乳加工製品の生産量も3.3倍に伸びた。

 朝鮮の経済状況はいまだ厳しいものの、自力更生、実利主義の旗印のもと、着実に上向きになりつつある。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2003.12.26]