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そこが知りたいQ&A−新年、共同社説は何を強調したか

 新年の辞に相当するものとして95年から毎年元旦付に掲載されている労働新聞、朝鮮人民軍、青年前衛3紙の共同社説。今年の見出しは「偉大な軍事優先の旗のもとに共和国の尊厳と威力を高くとどろかせよう」だ。今年の特徴、課題などについて見た。

 Q 今年の特徴は。

 A 全体を通して対米関係を意識したものとなっている。昨年10月のケリー米大統領特使の訪朝後、ふってわいた核問題。朝鮮側が「ねつ造された『核計画』」(12月27日発朝鮮中央通信)と否定しているにもかかわらず、米国側から流される一方的な情報で「疑惑」が膨れ上がった。米国は12月から重油提供を中断、朝米基本合意文は危機に瀕している。

 このような情勢を踏まえ、見出しにもあるとおり、すべての分野において軍事優先思想と路線を全面的に具現するよう強調している。

 それは、経済の優先課題に国防工業の重視をあげたことにも表れている。経済課題に国防工業が登場するのは初めてだ。一触即発の状況が続く中、防衛態勢の強化に力を注いでいることは明らかだ。

 今年7月27日は朝鮮戦争勝利(停戦協定締結)から50年目にあたる。共同社説は「戦勝50周年は、世紀を継いで社会主義の旗を変わりなく掲げ、帝国主義に超強硬で立ち向かうわが軍隊と人民の気概をとどろかせる重要な契機になる」と述べた。いまだに戦争が終結していない朝鮮半島。朝鮮が提案している不可侵条約採択に米国がどう応えるかが、1つのキーポイントとなろう。ちなみに、6、7日にワシントンで開かれた「米日韓政策調整会合」後に発表された共同声明には、米政府が朝鮮と「対話する用意がある」ことが表明された。

 Q 南北関係については。

 A 昨年同様、6.15共同宣言の履行が統一につながると指摘している。中でも強調されているのが「わが民族同士」。これに沿って、「民族共助」の実現を呼びかけた。

 米国との関係で、「朝鮮半島における対決構図は北と南の朝鮮民族対米国だと言える」と述べているのが注目される。外勢との共助ではなく、民族共助をしようというわけだ。女子中学生れき殺事件を契機に、南で広がる反米気運を意識した下りだ。

 東海、西海線の鉄道、道路の連結をはじめ、昨年かつてなく活発に動いた北南関係。次期大統領に選ばれた盧武鉉氏は金大中大統領の「太陽政策」を踏襲するとしており、南北関係の後退を予想するのは難しい。

 共同社説は、朝鮮半島で戦争が起きる危険を防ぎ平和を守ることを民族の課題と位置づけた。そのためには、南が同族という意識で協力することが必要だと呼びかけている。

 Q 今年をどう位置づけているのか。

 A 「強盛大国の頂きに進む攻撃戦の年」「変革の年」と位置づけた。昨年は「強盛大国建設の新たな飛躍の年」だったが、今年はさらに発展して、いよいよ強盛大国構想を実現する年と想定している。建国55周年を迎えるのと関連し、現社会主義体制の死守も改めて指摘した。そのためにも、人民生活の向上を柱とする強盛大国構想の実現を急いでいることがわかる。

 Q ネックとなっている経済建設の課題は。

 A 国防工業以外には電力、石炭、金属工業、鉄道輸送を経済活性化の梃子とした。農業では、種子、ジャガイモ農業、二毛作農業方針を具現して増産すべきなどとしており、例年と変わりない。

 昨年同様、経済管理の改善、科学技術の発展も強調。昨年7月1日から実施されている「経済改革」路線を引き続き進めることを示唆している。(文聖姫記者)

共同社説の骨子

[朝鮮新報 2003.1.10]